本と図書館漬けの日々。
2021年5月30日日曜日
『三つ編み』 レティシア・コロンバニ(著/文)
2021年3月7日日曜日
「よい絵本とは」について考えたこと
娘に絵本を読んでくる中で、絵本関係の本をたくさん読んだ。その中で、「よい絵本とは」という情報にたくさん出会い、だんだん自分の中での情報の受け取り方が変わってきた。
↓
「よい絵本とは」という情報に触れて、なんとなく、従わないといけない気になっていた
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もっと自由に読んでいいのではと思うようになった
↓
絵本についての考え方は人それぞれだし、価値観によって違うから、自分の価値観と照らし合わせて参考にするかどうか考えたらいいと思うようになった
それでもなお「よい絵本」のフレーズにひっかかるものがあり、さらに考えて、何にひっかかっていたのかわかったので書いておく。
- ある人や団体が、自分(たち)が価値を感じるのはこういう絵本だ、といいたいとき
- 歴史的によいと考えられてきたのはこういう絵本だ、とか、多くの人がよいと考えているのはこういう絵本だ、といいたいとき
- ある範囲や目的の中での「よい絵本」を語っているとき
- 世の中で「よい絵本」はこうあってほしい、こうあるべきだといいたいとき
- 実際に意味するところ(個人の意見なのか、多数による意見なのか、条件つきなのか、それを推奨してきているのか、など)を理解したうえで、最終的には自分の価値観と照らし合わせて判断する
- 多くの人が賛成しているかどうかの違いはあっても、一意見であるととらえる
- 自分が別の意見を持つことも自由だというスタンスで情報を受け取る
2021年2月14日日曜日
【読書の記録】『はじめての哲学的思考』苫野一徳
この本は、哲学とは何か、哲学的な考え方がいかに実生活の中で有用か、そしてその具体的な方法について説明しています。
一番印象的だったことは、哲学は意味や価値に関する本質を解き明かす営みである、ということです。意味や価値に関する考え方は人によって異なり(意味や価値は個人の欲望をもとに生まれている)、絶対的な真理はないからこそ、現実の世界ではお互いに納得できる共通の理解に至る必要がある場面があり、哲学はその場面で役立つ、ということでした。
- 議論をしようとしている事柄について、まずそれぞれの人がどのようなどのような意見をもっているのか、その意見はどういう価値観に基づいているのかを理解しあう
- 双方の意見・もとづく価値観を理解しあったうえで、それらの価値観・意見の妥当性をお互いに検討し、双方とも共通で目標とできるような事項へと集約させていく
- 自分の意味や価値の世界に基づいて、それが人にも当てはまると判断(一般化)しない
- 建設的な回答が出ないような、「真か偽か」の問いの立て方をしない
- 自分の価値観だけに基づいて、事実から「〇〇すべき」を導かない
- 「〇〇せよ」ではなく「どうしたら〇〇できるか?」と考える
- (↑のようなことをほかの人が行っていないかにも気を付ける)
- 「哲学対話」(本や映画などの好きな芸術作品について、そのすばらしさを言語化し、お互いに話し合うことで、自他の価値観を再確認し、時に共有できる)
- 「共通理解志向型対話」(ディベートのように二手に分かれて勝敗を競うのではなく、議論の末にお互いの納得できる結論を導くことを目標とする)
- 「本質観取」(ある事柄の本質を、複数人で話し合う。事柄の本質は、自らの経験などに基づいて、その特徴や類似事項との違い、意味付けなどから考える。最終的にはその事柄に関する疑問や悩み?の解決について話し合う)
2020年9月6日日曜日
【読書の記録】『「読む」って、どんなこと?』高橋源一郎
『「読む」って、どんなこと?』高橋源一郎(NHK出版、2020)
この本は、「読む」行為を、深く考えてみようという趣旨の本です。いくつかの例文を題材に、筆者の高橋さんが「読む」行為を掘り下げ、その中で、「読む」に関する高橋さんの考えが示されています。
たとえば、「たくさん問題を産み出せば産み出すほど、別のいいかたをするなら、問題山積みの文章こそ、「いい文章」だ、ということです。つまり、その文章は、問題山積みのために、それを読む読者をずっと考えつづけさせてくれることができるのです。」(p64)とあります。
考えを促してくれる文章がいい文章だ、ということは、高橋さんは読書に、考えさせてくれることを最も期待しているということがわかります。
同時に、何がその人にとって「問題山積み」の文章かは、個々の人によって違うだろうなと思いました。(多くの人にとって「問題山積み」の文章、てのはあると思いますが)
それから本書ではあえて「学校では教えない」であろう文章がいくつか紹介され、それらを読むことを高橋さんが実践しています。またそれらはなぜ「学校では教えない」と思われるのか、そのことについても考察してみる、という「読み」もなされています。
それは文章自体を読むだけではなく、この文章はなぜ書かれたか、この文章について自分はどう思うのか、それはなぜか、というような、文章の外から、文章の立ち位置やそう思う自分の立ち位置、それを超えた様々な事象についてを考えるという高次の読み方なのかな、と思いました。
また、高橋さんの「読む」に対する考えは↓とも書かれています。
「絶対的に「悪い」ものがあるわけではありません。あるものが「善」にもなり、「悪」にもある。いや、「善」でかつ「悪」だったりもする。だからこそ、わたしたちは、用心しなきゃなりません。そうではありませんか。そのための武器こそ、「読む」ことなんだと思うのですけれど。」(p112)
読むことは考えること、そしてそれは、自分が無意識にとらわれている常識などから自由になるため、ということかな、と理解しました。いろいろと考えさせてくれる本でした。
2020年5月30日土曜日
読書中の頭の中の音読について
https://doi.org/10.5926/jjep.67.12, (参照 2020-05-30).
内容
- 小学校低学年での理解度は音読>黙読だが、高学年では黙読=音読か黙読>音読
- 読み能力が低い場合に理解度は音読>黙読
-
読み能力が低い場合、音読・黙読で眼球運動が同じだが、読み能力が高い場合には音読・黙読で眼球運動が異なった(理解しにくい場所にとどまったり、わからない部分に戻るなど)
- ”音読条件と黙読条件の間にみられる違いと,内声化強制条件と内声化抑制条件の間にみられる違いとを比較することで,音声化と内声化の機能の共通点と相違点について検討する”
- "内声化を行う程度によって読み手を分類し,文章理解や眼球運動に違いがあるかを調べる"
- 大学生24名(男12、女12)※内声化抑制ができなかった2名のデータは省いた
- 12セットの課題を実施(文章1つを読んで、逐語記憶問題3問、文章内容問題3問に回答)
- 大学生23名(男7、女16)※内声化抑制ができなかった2名、事前調査で内容理解できなかった1名のデータは省いた
- 12セットの課題を実施(文章1つを読んで、文章内容問題3問に回答)
- 普段の内声化スタイルを事前に調査⇒内声化多12名、内声化少8名
- 音読は黙読と比べ時間がかかり、眼球の運動が少なく、黙読時と成績は変わらなかった
- 内声化は内声化しないのと比べ時間がかかるが、内声化するほうがしないより文章内容問題の成績が良い結果も出た(実験②)
- 通常内声化をしているかしていないかによって問題の成績への影響が異なった
- 通常内声化をしている場合の成績
- 内声化抑制<黙読<内声化強制<音読
- 通常内声化が少ない場合の成績
- 内声化抑制<音読<内声化強制<黙読
- 内声化は音読同様に内容理解を促進する可能性があるが、時間がかかるなどのデメリットもある。一方、内声化をしない黙読は、少ない時間で内容理解も促進できる高次の読み方だが、それ自体ができない場合も多い。
- 年齢や対象となる文章などについても考慮してさらなる検討が必要。
感想
2020年5月10日日曜日
絵本の読み聞かせと親子関係
佐藤 鮎美. 絵本遊びが親子関係に良い効果をもたらすのは本当か?. ベビーサイエンス. 2016, vol.16, p. 18-27.
https://www.crn.or.jp/LABO/BABY/LEARNED/16/Sato_BabyScience2016.pdf, (参照 2020-05-10).
- 生後9か月の赤ちゃんと母親10組を対象に、①絵本遊び、②おもちゃ遊び、③ツールなし の3種の遊び場面(各10分)をしてもらい、子供の行動に対する母親の働きかけ頻度を比較。
- 生後9か月のあかちゃんとその母親28組を、①3か月間毎日絵本遊びをするよう指示したグループと②そうでないグループにわけ、生後9か月および生後12か月の時点のおもちゃ遊びの様子(母親からの賞賛の頻度と、子供のほほえみの頻度)を比較。
- 絵本遊びではほかの遊びより、母親の働きかけが多かった。(回数だけでなく、子供の意にそった働きかけが増えた)
- 絵本遊びを増やすことによりほかの時間にも行動が変化する可能性が示唆された。(絵本遊びを増やしたことで、おもちゃ遊びの時間にみられる賞賛や子供のほほえみが増えた。ほほえみの増加=子供が普段から親にほめられていることの示唆と考えられるとのこと。)
- 絵本と子供の媒介に親が必要であるからこそ、絵本の読み聞かせの習慣によって、(読み聞かせ以外の場面でも)親が子供を観察し、子供に対して応答的(子供の行動に対して的確・即座に反応する)になる変化がみられたことが考えられる
”今回得られた結果は、あくまで「母親の応答性」という一側面に特化した際、絵本遊びが有利か もしれないことを示唆するものである。筆者としては、 日々の生活のなかにはさまざまな遊びがバランスよく混ざっている状態が一番望ましいと考えている。では、本研究のように各遊びの特異性など研究する必要などないかといえば、それもまた否であろう。乳幼児発達の研究者である以上、乳幼児を取り巻く遊びの特性やその効果 を実証的に明らかにし、それを踏まえたうえで、「どの遊びも必要である」ことを発信していく必要がある。”
*↓こちらが引用文献として挙げられていました。読んでませんが。。
Wade, B., & Moore, M.:An early start with books:Literacy and mathematical evidence from a longitudinal study. Educational Review 50, 135- 145 (1998).
2019年10月5日土曜日
PISA型読解力に関するメモ
PISA
- 2000年よりOECDが15歳を対象に3年ごとに実施している学力テスト
- 数学的リテラシー、科学的リテラシー、読解力をはかっている
- PISAではかっている上記の能力は、OECDが定める「キーコンピテンシー」の一部である
- 「キーコンピテンシー」は、知識や読み書き等の学習能力だけではなく、学校や職場に限らずに人生の成功や社会の良好な動き(生産的な経済、民主的なプロセス、社会団結、平和などを含む)に貢献するような総合的な資質・能力
- カテゴリー①相互作用的に道具を用いる
- 言語、シンボル、テキストを用いる(1A)
- 知識や情報を用いる(1B)
- カテゴリー②異質な集団で交流する
- 他人といい関係を作る(2A)
- 協力する(2B)
- 争いを処理し解決する(2C)
- カテゴリー③自律的に活動する
- 大きな展望の中で活動する(3A)
- 人生計画や個人的プロジェクトを設計し実行する(3B)
- 自らの権利、利害、限界やニーズを表明する(3C)
- PISA型読解力は、読むスキルだけではない広い意味の言語力を指している
- 情報の取出しだけでなく理解や評価も含んでいる
- テキストを読むだけではなく活用することも含んでいる
- テキストの内容だけではなく構造・形式や表現法も評価すべき対象となる
- テキストには文章(連続的テキスト)だけでなく、図表やグラフなどの非連続型テキストを含んでいる
日本の政策
- 2000年以降日本のPISAテスト成績(特に読解力)が低下したことを受け、学習指導要領で「言語生活の充実」がうたわれるようになった
- PISA型読解力を高めるために2007年度から「全国学力・学習状況調査」が実施された
- 2014年には学校図書館法改正により、学校司書配置が法制化された
- 2015.12に文科省は『読解力育成プログラム』開始
- 3つの重点目標:1. テキストを理解評価しながら読む力を高める取組の充実、2. テキストに基づいて自分の考えを書く力を高める取組の充実、3. 様々な文章や資料を読む機会や、自分の意見を述べたり書いたりする機会の充実
- 5つの戦略:1. 学習指導要領の見直し、2. 授業の改善・教員研修の充実、 3. 学力調査の活用・改善等、4. 読書活動の支援充実、5. 読解力向上委員会(の開設)
- 2017.3公示の新しい学習指導要領でも、PISA型読解力は「全ての学習の基盤となる資質・能力」の一つとして、その能力の向上の必要性が提起されている
参考
- 田中博之. 読解力とはどのような力か. 情報の科学と技術. 2018. 68(8), p.390-394 https://doi.org/10.18919/jkg.68.8_390
- 河西由美子. 情報リテラシー概念の日本的受容-学校図書館と情報教育の見地から- . 情報の科学と技術. 2017. 67 (10) , p. 514-520 https://doi.org/10.18919/jkg.67.10_514
- 米谷優子. 日本における読書教育と読書推進策 : 情報リテラシー教育との関連から. 園田学園女子大学論文集. 2011. 45, p.019-040 https://www.sonoda-u.ac.jp/tosyo/ronbunsyu/園田学園女子大学論文集45/019-040.PDF
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絵本の歴史について、かなりおおまかにですが、読んだことなどをまとめます。 ◆絵本の原型となったもの ・ホーンブック(→ のちにバトルドアへ) 16世紀前半イギリスにて、子供の教則本として使用された、羽子板のような形のもの。 のちに挿絵もつけられ、バトルドア...
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職場の書庫でカビが発生しています。 まったく知識がないので調べてみることにしました。 ■カビ対策の現状 カビ対策はこれまで臭化メチルによる燻蒸が主流だったが、 臭化メチルがオゾン層破壊物質として認定され、2005年以降使用禁止となった。 それをうけてIPMの考えが...
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娘に絵本を読んでくる中で、絵本関係の本をたくさん読んだ。その中で、「よい絵本とは」という情報にたくさん出会い、だんだん自分の中での情報の受け取り方が変わってきた。 「よい絵本」という言葉をつかうことに何も感じてなかった(このブログでも特に意識せず過去に使ってた) ↓ 「よい絵本...