2011年4月19日火曜日

『真夜中の図書館/図書館を作る―市民・企業・行政』

辻 桂子(2006)「真夜中の図書館/図書館を作る―市民・企業・行政」郁朋社


図書館のない自治体に住んでいた著者が、「市民による市民のための図書館」を作るために立ち上げたブログをもとにした本です。
著者はそのために図書館司書資格、生涯学習アドバイザー資格を取得されたということもあり、単に利用者目線で所望するサービス内容が書かれているのみならず、必要な職員、機能、資料や、資金計画やビジネルモデルを含む経営計画が記されています。

後半は、著者の理想の図書館「真夜中の図書館」について、いち利用者である「僕」が日記形式でつづるというおもしろい様式になっています。
そこにつづられる図書館の在り方は、ただ単に本を提供する場所としての図書館とは一線を画した、地域に根差したカルチャーセンターのような場所です。
絵本美術館が併設されていたり。企業が専門図書館をつくることができたり。読書会の日に、野外音楽会やフリーマーケットが開かれていたり。と、まさに自由です。

この理想図書館は、必要とする情報がすべて入手できる場所というだけでなく、利用者が情報を発信する場所としても機能しているところが、現実の図書館とは大きく違うところだと思いました。
利用者が情報を発信するということは、図書館で利用者と本がつながるだけでなく、利用者同士が直接つながることもできるということです。
資料自体はオンラインでみられることも増えていく中、図書館のそういった機能は重要だと思いました。

その他、気になったキーワード・・

・PRライブラリアン

「PRライブラリアンは広報担当として図書館の存在価値をマスコミや市民へアピールします。プロフェッショナルな感覚で読まれる広報紙を発行し、政治や行政や市民の生活の中に出かけて図書館サービスを展開し、図書館サービスを営業します。図書館の力を具体的にアピールし、必要性を高めることで図書館の発展を目指します。」

75ページより。サンフランシスコ公共図書館にはこのような司書がいるようです。

気になった引用文献・・

・上山信一, 稲葉郁子「ミュージアムが都市を再生する」
・竹内悊「図書館のめざすもの」

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