2014年3月7日金曜日

【読書の記録】なぜ日本の大学生は、世界でいちばん勉強しないのか?

なぜ日本の大学生は、世界でいちばん勉強しないのか?
なぜ日本の大学生は、世界でいちばん勉強しないのか?

日本の大学生が勉強しない(といわれる)理由を、大学生・大学(教員)・企業(採用側)という3者の相関関係を整理することで解説しています。
著者の分析は以下のとおりです。

現況では大学生が勉強をすることで3者とも得をしない構造になっている。
学生は勉強をしなくても卒業できるし就職には影響しない。教員は熱心に指導してもむしろ学生に嫌がられる。企業は、大学時代の成績が参考にならないので評価の指標としない。(=「負のスパイラル」)

このスパイラルに問題を感じる人がいないわけではなくても、3者はその状況をそれほど嫌がっていないため、この構造をかえるには時間がかかる。
それでもそれを変えていくには、3者の行動を一度にかえる必要がある。すなわち、大学生は熱心に勉強をする。教員はそれを促すような授業を行い、きちんと評価をする。企業はその成績を就職時の判断材料とする。

このことで大学生は自分の可能性を広げることができるし、大学は能力の高い学生を排出することができるし、企業はより正確に能力を判断し、採用にかかるコストも下げることができる。



ただ現状で考えると、学生や企業から行動をかえることは成り立たない気がするので、大学(教員)側から行動を変えるしかないということでしょうか。

とはいえ、これがなかなか難しいだろうなぁと思うのは、現状ですでに大学教育への政策はいろいろと手が打たれていて、大学の先生はFDやらアンケートをとったりやらで相当忙しい気がします。研究のほうでも事務仕事が増えていると聞きます。

学生が熱心に予習をしてくるには、きちんと課題を指定すれば少人数教育である必要はないかもしれませんが、きちんとした評価をするには少人数教育でないとやはり不可能かとも思います。
(本の中では、マークシートのようなテストで「考える力」を試す方法についても述べられていました。)

自分が図書館にいて思うのは、学生さんに「勉強に必要性を感じない」というスタート地点にたたれたら、こちらがいくら学習の大事さとか、そのための情報リテラシーの重要さとかをうったえたってぬかに釘だということです。

たぶんその「正しさ」は理解できるのに自分にとっては「必要ない」と感じるとしたら、それはやはり構造的に勉強をしても「得をしない」ことになっているからなのでしょう・・

教員個々の努力だけではもう難しそうなところ、どうやったら少人数教育とか、しっかりした評価(簡単に単位がとれないような授業)などが実現されるのでしょうか・・。

余計な仕事で先生の本業を圧迫しないようにするというのが実は一番手近に、図書館含む大学の事務職員ができることなのかなぁと思いました。

(ただ現場にいて学生さんが勉強しないと実感するばかりではなく、自分がいまいる専門資料の多い機関では、かなり熱心な学生さんも見受けます。)


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