以前に基礎的なことを調べたのですが、もう少し具体的な情報をいくつかさがしました。
■原因調査について
カビの再発を防ぐため、原因調査をした記録がありました。(1)
- データロガー設置で温湿度調査
- 送風状況確認(ポリプロピレンのひもを書架にはりつけ・デジタル風速計)
- コンタクトプレートで除湿機がカビの発生源になっていないか確認
- RCSサンプラーで書架・床のカビを調査
- レーザー粉塵計、Air-O-cellサンプラーで書庫内の粉塵を調査
■予防・環境改善
- 除湿機設置
- 床や窓などのカビ発生状態も確認したうえで、除去・清掃
- 扇風機などを使用し送風、湿気だまりをなくす
- 空調が外気をとりこむタイプなら雨の日は運転を抑える
- 窓を発泡スチロールで閉鎖
- 清掃の委託(の検討)
■はえた場合の除去について
- HEPAフィルター・ULPAフィルターつきの掃除機で吸い取る
- 70-80%の消毒用エタノールで、キムワイプ等でふき取る
- この際、いったん資料はすべて除けて棚板もふきとることが重要
- 専門業者に対策を相談すること
東京文化財研究所では、作業の際、下3段のみと優先順位をつけて作業されたそうです。(1)
また、文部科学省図書館では、除去作業の前にまず、不要と思われる資料2000冊を選別し廃棄されたそうです。(2)
カビの除去作業といっても日ごろの通常業務の合間に行うため、いかに効率的に(再発を防ぐことも含め)対策をとることができるかが重要だと思いました。
<参考
(1)佐野千絵ほか. 図書資料のカビ対策:三康図書館の事例. 保存科学. 2002, 42, p. 87-100.
http://www.tobunken.go.jp/~ccr/pdf/42/pdf/04210.pdf
(2)松家久美. 特集, 大切な資料を守れ!-資料保存: 利用のための資料保存~カビ除去作業の外注について~. びぶろす. 2014, 66.
http://www.ndl.go.jp/jp/publication/biblos/2014/10/02.html
(3)伊藤もも. 特集, 大切な資料を守れ!-資料保存: カビ発生後の当館での書庫管理について. びぶろす. 2014, 66.
http://www.ndl.go.jp/jp/publication/biblos/2014/10/03.html
資料の参照日は2015.2.21です。
0 件のコメント:
コメントを投稿