2015年10月4日日曜日
『絵本の本』中村柾子
長い間保育士として絵本を子どもと読んできた筆者の体験談に基づく絵本論にはとても説得力がある。
保育園では、絵本が子どもの興味・疑問をひきおこして、その後子ども同士で話し合ったり、実際に確認したり、遊びに発展したりということがたくさんあったようだ。
絵本は、単に文字や知識を覚えさせる以上に、子どもに本質的な変化をおこさせるものだということがわかる。
その変化は、即座に・直接的に起こるものではないので説明は難しいけど、説明できないから関連がないわけではない・・というくだりに納得。
確かに絵本の影響を科学的に証明するのは難しい。
でも多くの人が、絵本の力・よさを実感していることは事実。私もとても実感している。
その実感(経験)をもつ人がその可能性を信じて発していくことこそ重要なのかな、と改めて思えた。
またこの絵本では、創作の物語絵本のほか、科学絵本や昔話絵本についても、子どもにとってどんな意味があるか、掘り下げて説明されている。
一方、かわいいだけの絵本、想像する余地が残されていない絵本、昔話で残酷な場面を省略してしまっている絵本、大人の好みで作られている絵本などには疑問が呈されていて、深くうなずきながら読んだ。
とはいっても著者も、古典ばかりにたよるのではなく、新しい絵本を大人が積極的にみとめていくこともすすめており、絵本選びは一筋縄ではいかないことがわかる。
子どもに変化をもたらすような絵本との出会いを数多く準備できるよう、大人の試行錯誤が要るなぁ。
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