(版元ドットコムより転載) |
文春文庫
松岡 享子(著/文)
ISBN 978-4-16-790946-8 C0195 文庫判 240頁
定価 680円+税
発行 文藝春秋
書店発売日 2017年10月6日
ISBN 978-4-16-790946-8 C0195 文庫判 240頁
定価 680円+税
発行 文藝春秋
書店発売日 2017年10月6日
絵本の持つ可能性、読み方、選び方などについて具体的に書かれた本ですが、「よい絵本」について書かれたくだりでは、絵本のはたす役割について明らかにし、その役割をはたすための「よい絵本」という流れで説明されていたので腑に落ちました。
(以前に、「よい絵本」についてまとめてみましたが、絵本に期待する役割が違えば、その文脈での「よい絵本」はきっと変わってくるんだろうなと思います)
本書によると、絵本は子供にとって、次のような役割を果たすので
- 文字でものを考える前の段階として、絵でものを考える段階の手助けをする
- 子どもの知識や経験の乏しさを補って、想像力に後ろ盾を与える
- 美しいものを見ることができ、しっかりしたものの見方のできる目を育てる
次のような条件があるとよいそうです。
- 子どもがお話のすじや作中人物の気持を理解でき、作品全体のムードを感じられるものであること
- 知識を補うに足る、正確な絵であること
- 子どもに美的満足を感じさせてくれること
具体的な方法としては、次のような順番をとって絵本をみられているそうです。
- 子どもの心に近づいて、全体を読む(絵だけを見るといい)
- 評価の定まっている古典的な作品と比較して、共通の要素があるかを確認
- 前述の3点の条件に照らしてみる
とはいえ、こうやって選んだ本について
「それらの本すべてを、すべての子どもが愛読しなければならないと考えるのはまちがいです。本にも個性があり、子どもにも個性があります。一定のふるいにかけられたよい本の中から、ひとりひとりの子どもが、その子にとってよい本を選ぶことがたいせつなのではないでしょうか。」とも書かれていました。
子どもに読書や特定の読む本を強制するというより、可能性をはばんでしまわないように、大人は試行錯誤しながら環境を整えていくのがいいんだろうな、と思いました。