2019年1月20日日曜日

絵本の賞の選定基準

絵本に関する賞の選定基準を知りたいと思い、有名な2つの賞について見てみました。下記のページに賞の一覧があります。
児童文学賞一覧(海外の主な児童文学賞)-国立国会図書館国際子ども図書館
児童文学賞一覧(国内の主な児童文学賞)-国立国会図書館国際子ども図書館


1.コルデコット賞(Caldecott Medal)


概要

  • 1938年に創設。
  • 19世紀英国の絵本作家、ランドルフ・コルデコットにちなんで命名されている
  • Association for Library Service to Children(ALA=米国図書館協会の1部門)により授与される
  • 前年に米国の出版社により米国で出版された、英語の、子ども(14歳以下)のための絵本を対象に選定し、画家に授与される

基準

  • いかにうまく芸術的なテクニックを採用しているか
  • ストーリー、テーマ、コンセプトをいかにうまく絵で表現しているか
  • ストーリー、テーマ、コンセプトにいかに合った方法を採用しているか
  • 筋、テーマ、キャラクター、設定、ムードや情報をいかに描写できているか
  • 子供という読み手をいかに理解して絵を表現しているか
(参照:http://www.ala.org/alsc/awardsgrants/bookmedia/caldecottmedal/caldecottterms/caldecottterms


というわけで、あくまで、絵本においてストーリーやテーマを表現する役割としての絵を評価対象としています。
この賞は教訓的な面や人気を評価する賞でないと断ってあります。

2.ケイト・グリーナウェイ賞(Kate Greenaway Medal)


概要

  • 1955年に創設。
  • 19世紀の絵本画家ケイト・グリーナウェイにちなんで命名されている。
  • 英国で前年に出版された、英語の、子ども用の本を対象に選定し、絵の観点で素晴らしい作品に対して授与
  • CILIP(the Chartered Institute of Library and Information Professionals)により選定・授与される

基準


芸術的な質が高く、刺激をあたえ満足のゆく視覚的経験をもたらし、後に印象を長く残す作品におくられる。評価対象は絵のほうで、テキストに関しては絵との相乗効果が評価される。

  • スタイル:媒体が適切か、クリエイティブで突出しているか、テーマにあっているか、作品全体における質の保持
  • フォーマット:タイポグラフィが適切か、レイアウトが適切か、本のサイズ・形は適切か、表紙・裏表紙・標題紙がうまく利用されているか
  • 絵とイラストの評価:絵が読者の理解を深めているか、レイアウト上で絵とテキストがうまく配置されているか、絵とテキストが一致しているか、絵がテキストを深めているか(単なる装飾でないか)、情報(科学)の本である場合に情報が正確か
  • 視覚的な経験:読者に新たな経験をもたらしたり過去の経験を想起させられるか、異なるレベルの読者に対してそれぞれうまくうったえかける本か、本の美的な質、読者への印象

(参照:http://www.carnegiegreenaway.org.uk/awards-process.php#criteria


(上記の具体的なポイントは、必ずしもすべてのノミネート作品にあてはまるわけではないとことわってあります)
やはり、絵を中心にした評価がなされるようです。

こうやって選ばれた作品を読まなければいけない!というわけではなく、好きな絵本を読んでいいと思うのですが、いずれの賞もストーリーをうまく伝える絵の表現という点で突出した作品におくられるようなので、そういった絵本は一つの世界をうまく作って、多くの人の心を打つのだろうなとも思います。

多くの方の経験に基づいて培われてきた基準を参考にしつつ、自分の感覚もたよりに、これからもぽつぽつ集めていこうと思います。