2019年6月2日日曜日

探求型の学び

この本を読みました。
『「学校」をつくり直す』苫野一徳、河出書房新社、2019

一児の母としても大学図書館員としても教育は気になるテーマですが、立ち読みしてこの本では方法論だけではなく、そもそも公教育は何のために行うかといったことに触れられていたので興味をひかれて読みました。

この本で筆者は、小学校教育を主眼に、現在の「みんなで同じことを、同じペースで、同じようなやり方で」行われている教育方法にかわるモデルとして、「学びの個別化・協同化・プロジェクト化の融合」を提唱しています。

「みんなで同じことを、同じペースで、同じようなやり方で」の教育方法の弊害としては、↓などが挙げられています。

  • 個々の子どもの興味やペースにあわずにかえって子どもの学習意欲をそいでしまう
  • 成績評定やテストによる序列化で評価することにより、よい評価を得ることが目的になってしまう
  • 何を学ぶかだけでなく、どう学ぶかまでもが決められていることも多い(アクティブラーニングでさえも結局型にはまったものになってしまう場合も多い)

そして「学びの個別化・協同化・プロジェクト化の融合」を行うことにより、↓のような変化があるということが書かれていました。

  • 子どもは自分の興味対象を掘り下げることができ、知識はその過程で習得できる
  • 特定の、ついていける子どもだけが力をのばせるのではなく、全員の子どもが、それぞれに力をのばすことができる
  • 学習において自分で選び実践することで、学びの意義や楽しさを知ったり、やり遂げる意志や自信などを身に着けることができる

具体的に「学びの個別化・協同化・プロジェクト化の融合」による教育とは↓のようなものだそうです。本書では国内外の実践例も紹介されていました。

  • 自分で問いを設定したり学習計画を立てたりする(=個別化)
  • 個人のペースで学びつつ、必要な場面では他人の力も借りられるような環境を整える(=協同型)
  • 知識を一方的に教えられるのでなく、「課題解決型プロジェクト」「知的発見型プロジェクト」「創造型プロジェクト」のような枠組みの中で、自ら探究(設定した問いへの仮説を実行・検証)する(=プロジェクト型)
  • そして、成績評定や一斉テストでの評価でなく、個々の子どもの能力が今どれくらいの段階にあり、どういう支援が必要かがわかるための評価を行う

日本でも、探究を中心にした学びが必要だということが、下記のような文書でも提言されているとのことでした。

「Society5.0に向けた人材育成 〜社会が変わる、学びが変わる〜」(2018)
「「未来の教室」とEdTech研究会-第1次提言」(2018)

さらに、探究型の教育をすすめるにあたっては、教員養成の大学授業自体も探求型であるほうがいいのでは、という問題提起もありました。

そして、本書に通底していたのが、なんのために教育を行うのか、そのために最適な方法は何なのかを考え続ける必要があるという考え方でした。

  • 教育に関して、ある一つの成功例が一般化されてしまう場合もあれば、それへの危惧としてエビデンスベースの教育政策立案(EBPM=Evidense-Based Policy Making)の推奨などもあるが、「エビデンス」があるから政策に直結させていいわけではなく、「エビデンス」は政策の判断材料の一つでしかない
  • 「絶対に正しい方法」はなく、個々の場合に応じて、「何のため?」を問いながら、いろいろな方法を組み合わせて実践してみるしかない

筆者自身は、公教育はなんのために行うかというと、「すべての子どもが「自由」に、つまり「生きたいように生きられる」ための"力"を育む」(p85)ためにあると考えられています。そのために、それぞれの子どもが自由に生きるために必要な力である「探究する力」を身に着け、さらにお互いの自由を相互承認できる価値観を身に着けられるために、「学びの個別化・協同化・プロジェクト化の融合」型教育を推進されているそうです。

実践には困難も多いのでしょうが、個人的にとても共感し、こういう方向に進んでいってほしいと思います。探求型の学びの実践では、図書館にも、資料自体や調べ方情報の提供などの形で貢献できる可能性が多くありそうです。そして「何のために」を問うという考え方も、他の場面(たとえば自分の仕事とか、自分の子どもの教育について考える時)でも必要だなぁと感じました。

2019年4月27日土曜日

絵本の「絵」がえがくもの

絵本の「絵」の表現に関する面白いコンテンツがあったので見てみました。
Exploring books for children: words and pictures(Open UniversityのMOOC)

全8回分の内容にわかれており、登録をすれば、進捗管理や小テストなどもできるようです。私は登録しようとしたらなぜかエラーになり内容を読むだけにしましたが。。↓の構成でした。
  1. Words and pictures in children’s fiction through the ages
  2. Making sense of pictures
  3. Combining words and pictures
  4. Book design and intended readership
  5. Illustration
  6. Illustration as interpretation: the example of Alice
  7. Analysing images: composition and symbolism
  8. An authorstrator comments on his craft


この講義では、絵本において言葉(テキスト)では語りきれないことを絵が語っているということについて、色々な具体例とともに説明がなされていました。

たとえばピーターラビットの絵本で、母親が子供たちに、マクレガーさんの庭にはに行かないように注意するシーン

テキストはそのことを単に書いているだけですが、絵では4匹の子どものうちピーターラビットだけ母親に背を向けて話をきいておらず、いかにももう出発したそうな顔をして、読み手を次のページへ促していることが紹介されていました。
絵を見ると確かにそうで、このあたりのことが文字でも書いてあったら過剰な感じもするし、こうやって絵本では絵とテキストが補完しあってるんだなぁと思いました。

また、1955年からはCILIPによってKate Greeaway賞がおくられるようになっている通り、絵本における絵の重要性が次第に認識されるようになっているそうです。絵本において、テキスト同様、絵もおはなしを物語る役割を持つという理由で、絵本画家のことを指した‘authorstrator’という言葉があるそうです。

アンソニー・ブラウンの絵本のイラストから、2つの場面がどんな感情や雰囲気を示しているのかを考える事例もありました。色味、キャラクター同士の配置、テーブルの上にあるもの等がそれぞれのシーンの雰囲気を強調していると考えられることが紹介されていました。

アンソニー・ブラウンさんはインタビューで、絵本に盛り込めるテキストは分量上限られているが、絵はさまざまなこと(登場人物の感情や、次に何が起きるか、過去に何が起きたか等)を語ることができ、そういった手法を次第に使うようになったと語られていました。

学術的な研究で提唱された絵本の絵の表現の読み解き方(配置、構図、使用されている色や線の特徴などから読み解く)、も紹介されていましたが、同時に、こういった分析は絶対というわけではなく懐疑的な立場の人もいることなども示されていました。

わかったことをまとめると

  • 絵本の絵には、テキストを補完する大きな役割がある
  • 絵は、ある特徴(色、モチーフ、構図など)をもつことによって特定の印象を人に与えやすい
  • その性質を使って、絵本の中の、登場人物の感情やその場面の状況がうまく表されていることがある

ということです。

日々絵本を読むときに、こういう知識ありきで絵を分析的にみたらつかれそうだし、著者の意図を決めつけることもできないとは思いますが、人の心をつかむ絵本は、そうやって絵の力を生かして物語を効果的に伝えているゆえであることも多いんだろうなと、興味深く感じました。

2019年3月30日土曜日

絵本の美術館、絵本と美術館

この本を読みました。
ぼくが安曇野ちひろ美術館を作ったわけ』松本猛著、講談社、2002

安曇野ちひろ美術館とは、世界で初めての絵本美術館として東京にちひろ美術館ができた20年後に新たに設立された、もうひとつのちひろ美術館です。 ※ちひろ美術館
この本は、美術館の視点から絵本についても考えるきっかけをくれるとても面白い1冊でした。

東京のちひろ美術館をつくられた際は、絵本の原画が芸術的な価値を認められていなかった状況の打開という動機が大きかったようですが、安曇野という自然の豊かな土地で新たな美術館をつくったときには、美術館で絵を見ることをもっと楽しめるようにという強い思いがあったようです。本では次のようなことが書かれていました。

  • 絵を見るとはそもそもどういうことか
  • 絵本の歴史
  • めざした美術館像・こだわり

絵を見るとはどういうことか?については、
  • 知識を得たり勉強するためだけではなく(狭義の勉強ということですが)、心地よい気分になるために見る
  • 自分が好きな、繰り返し見たい1枚、手元におきたい1枚と出会うために見る。
  • 絵の背景にある知識を知ることは絵を楽しむことを補足もするけど、それで絵を知ったことにしてはもったいなく、絵を見て何を感じるかを大事にする。

といったことが書かれていて、絵本についてもほとんど同じことがいえるだろうなぁと、最近の自分の中のもやもやが言語化された感じがしました。絵本も、数ある中から自分の好きなものを探すのが楽しい。

また、絵本の歴史というと、子どものための絵本の歴史(『世界図絵』など)から話が始まることもありますが、この本では『死者の書』から宗教画、日本の絵巻物等、子供向けに限らず人は長い間絵を物語とセットで書いてきていることが紹介されていて、物語と切り離されたファインアートの歴史は肖像画をのぞいてはまだほんの200年くらいだということです。
そう考えると絵本が大人も楽しませるものであることがとても腑に落ちました。

そういった考えに基づいてつくられた絵本美術館は、何より子どもも大人もゆったりリラックスして絵や絵本を楽しめる空間をめざして、家具や建物、カフェの飲食物まで、たくさんのこだわりのもとにつくられているようです。周りにはたくさんの自然があり、いつか行ってみたいなぁと思いました。

2019年3月16日土曜日

娘と楽しむ児童文学

最近は、娘と共通の児童文学作品をよく読みます。
絵本を読んできてよかったのは、日常的に、あの絵本のお話みたいだねーとかそういう共通の話題が自然に出て楽しい、ということだったので、娘の読むもののレベルアップにあわせて自然とそうなりました。
借りたり買ってたりしておいておくと、大体娘は私より先に読んでしまっています。

ここ一年くらいで面白かった本は
■『ふたごの兄弟の物語(トンケ・ドラフト 作、西村由美 訳(岩波書店)

外見は瓜二つ、性格はかなり違うふたごの兄弟が、いろいろな難題に出会って、知恵を使って挑んでいく話です。昔話のように色々な出来事がおきてお話は進むのですが、その中にも、青春特有(?)の心情の描写も出てくるのがまた面白かったです。

娘は私より先に読み終わり、読み終わった瞬間「ジャコモ(ふたごの弟)が仕事を見つけた!」と嬉しそうに言っていました。
その感想だけ聞いて、「どんな話?」と思っていたのですが、読むと確かに、順調に仕事を見つけて地道にキャリアを築く兄ラウレンゾーに比べ、これという仕事を見つけられずぶらぶらしている弟ジャコモの悩み(そうは見せないのですが)みたいなのが確かにこのお話の大きな軸な感じがしました。娘はそんな部分に共感して読んでいたんだなぁ。と親ばかながら感心しました。


他にも↓等、娘に続いて私も読んで、あれこれ話せたのは楽しかったです。
読みやすいと思った順です。
■『おじいちゃんの大脱走』デイヴィッド・ウォリアムズ 著、三辺律子 訳(小学館)

長くつしたのピッピアストリッド・リンドグレーン 作、大塚勇三 訳(岩波書店)
 『ピッピ 船にのる
 『ピッピ 南の島へ

■『ふたりのイーダ』松谷みよ子 著、司修 絵(講談社)

扉のむこうの物語岡田淳 著(理論社)


娘の読書力に私がいつひきはなされるか、て状況でもありますが、これからもついていける限りは一緒に読んで共有できるのは楽しみです。

私は小さいころも読書が好きでしたが、大人になってから、そのころ影響を受けた本とかよく覚えている本がないことに気づいてショックでした。
小さいころおそらく楽しく読んでたし、どこかで何か影響は受けているかもしれず、嘆いても仕方ないですが、冷静に理由を考えると、私は読んだ本について大人や周りの人と話さなかったし、本当はあまり理解していなかったのかなぁ。話すことで理解が深まるんだろうなぁとも思います。

2019年2月10日日曜日

好きな絵本


8年子どもと絵本を読んで実感したことのひとつに、子どもと楽しむために絵本を読むなら、自分が好きな絵本を読むことがかなり大事、ということがあります。
絵本を読んであげる時は、読み手の感動や熱意も子どもに一緒に伝わる、と松居直さんも書かれています。(『絵本とは何か』)

で、絵本をたくさん見てきて、確かに好きな絵本とそうでもない絵本があります。
古く読み継がれている絵本を好きと思うことも多いですが、必ずしもそうでもなく、やっぱり絵本と読む本人(タイミングによってもきっと違う)の組み合わせなんだなぁと思います。

自分の好きな絵本(一部ですが)を書いておこうと思いました。

はなのすきなうし
作:マンロー・リーフ  絵:ロバート・ローソン  訳:光吉 夏弥  出版社:岩波書店  発行日:1954年12月10日

絵は白黒だし、かわいい絵でもないですが、とても心惹かれる絵本です。
のんびり自分の好きなことをする牛も、その子どもをそのまま見守るお母さんも素敵だなぁと思います。
野原に点々と咲く花の絵の描写がきれいで、余白の大事さも感じられます。

モチモチの木
作:斎藤 隆介  絵:滝平 二郎  出版社:岩崎書店  発行日:1971年11月20日

主人公の豆太の育ての親である「じさま」の、名台詞に感動して、時々読んでしまう絵本です。
切り絵が美しく、それぞれのシーンに合った色調や雰囲気で描かれています。
子どもが自分の弱さを乗り越えて一歩前進するところが描かれていて、読んで満足感があります。

8年間の間には、子どもには自分の好みだけじゃなくていろんなものに触れてもらいたいなーと思い、あえて、自分の基本的な好みとは違うタイプの絵本でもいいなと思うものを探して買ったり、親戚からもらった絵本を読んでみたりしてきました。そういう中からも、たとえば↓のように積極的に好きと思うものもできて、よかったと思います。

しちどぎつね
作・絵:田島 征彦  出版社:くもん出版  発行日:2008年04月

落語絵本。かけあいが面白くて、声に読んで出したときはすごく楽しいです。
絵は味があり、滑稽さ、恐ろしさなど、それぞれのシーンの雰囲気がよく出ていて、物語の面白みを増してくれています。


やまこえのこえかわこえて 
作・絵:こいで やすこ  出版社:福音館書店  発行日:2001年10月

きつねのきっこが、他の動物たちと協力して、お祭りのいなりずし作りをします。ちゃんとお話の満足感を得られる絵本だなぁと思います。
絵を見ていると色々とヒントもあって、楽しめます。
あたたかみがあって、好きな絵本です。

自分の「好き」を追求しつつ、他のものにも目を向けて、自分がそれも好きになったらなおよし、絵本に限らず母親(や身近な大人)が心に響くものが多かったら、子どもにもそれが伝わるのかなぁと思います。

2019年1月20日日曜日

絵本の賞の選定基準

絵本に関する賞の選定基準を知りたいと思い、有名な2つの賞について見てみました。下記のページに賞の一覧があります。
児童文学賞一覧(海外の主な児童文学賞)-国立国会図書館国際子ども図書館
児童文学賞一覧(国内の主な児童文学賞)-国立国会図書館国際子ども図書館


1.コルデコット賞(Caldecott Medal)


概要

  • 1938年に創設。
  • 19世紀英国の絵本作家、ランドルフ・コルデコットにちなんで命名されている
  • Association for Library Service to Children(ALA=米国図書館協会の1部門)により授与される
  • 前年に米国の出版社により米国で出版された、英語の、子ども(14歳以下)のための絵本を対象に選定し、画家に授与される

基準

  • いかにうまく芸術的なテクニックを採用しているか
  • ストーリー、テーマ、コンセプトをいかにうまく絵で表現しているか
  • ストーリー、テーマ、コンセプトにいかに合った方法を採用しているか
  • 筋、テーマ、キャラクター、設定、ムードや情報をいかに描写できているか
  • 子供という読み手をいかに理解して絵を表現しているか
(参照:http://www.ala.org/alsc/awardsgrants/bookmedia/caldecottmedal/caldecottterms/caldecottterms


というわけで、あくまで、絵本においてストーリーやテーマを表現する役割としての絵を評価対象としています。
この賞は教訓的な面や人気を評価する賞でないと断ってあります。

2.ケイト・グリーナウェイ賞(Kate Greenaway Medal)


概要

  • 1955年に創設。
  • 19世紀の絵本画家ケイト・グリーナウェイにちなんで命名されている。
  • 英国で前年に出版された、英語の、子ども用の本を対象に選定し、絵の観点で素晴らしい作品に対して授与
  • CILIP(the Chartered Institute of Library and Information Professionals)により選定・授与される

基準


芸術的な質が高く、刺激をあたえ満足のゆく視覚的経験をもたらし、後に印象を長く残す作品におくられる。評価対象は絵のほうで、テキストに関しては絵との相乗効果が評価される。

  • スタイル:媒体が適切か、クリエイティブで突出しているか、テーマにあっているか、作品全体における質の保持
  • フォーマット:タイポグラフィが適切か、レイアウトが適切か、本のサイズ・形は適切か、表紙・裏表紙・標題紙がうまく利用されているか
  • 絵とイラストの評価:絵が読者の理解を深めているか、レイアウト上で絵とテキストがうまく配置されているか、絵とテキストが一致しているか、絵がテキストを深めているか(単なる装飾でないか)、情報(科学)の本である場合に情報が正確か
  • 視覚的な経験:読者に新たな経験をもたらしたり過去の経験を想起させられるか、異なるレベルの読者に対してそれぞれうまくうったえかける本か、本の美的な質、読者への印象

(参照:http://www.carnegiegreenaway.org.uk/awards-process.php#criteria


(上記の具体的なポイントは、必ずしもすべてのノミネート作品にあてはまるわけではないとことわってあります)
やはり、絵を中心にした評価がなされるようです。

こうやって選ばれた作品を読まなければいけない!というわけではなく、好きな絵本を読んでいいと思うのですが、いずれの賞もストーリーをうまく伝える絵の表現という点で突出した作品におくられるようなので、そういった絵本は一つの世界をうまく作って、多くの人の心を打つのだろうなとも思います。

多くの方の経験に基づいて培われてきた基準を参考にしつつ、自分の感覚もたよりに、これからもぽつぽつ集めていこうと思います。

2019年1月6日日曜日

『学びあう絵本と育ちあう共同行為としての読み聞かせ』赤羽尚美著

この本は、親の視点からも読み聞かせについて書いてあり、また文学的・心理学的の両方の面から読み聞かせについて説明されている本だと知り、読んでみました。
まず、絵本の歴史や、子どもという概念の成立と変化について追ったあとで、絵本の読み聞かせに関連する発達心理学の理論が説明されます。たとえば↓のようなことです。
  • 赤ちゃんは生後2か月目ごろから積極的に人に接触を試みる。その時大人から愛情をもって扱われれば、「基本的信頼感」が身に付く。(エリク・H・エリクソン アメリカの心理学者)
  • 人の精神発達は、まず人との間に現れ、次に個人の心の中で生じる。つまり、子どもは、大人とのやり取りで経験したことを、個人の中でできるようになっていく。(レフ・ヴィゴツキー ロシアの心理学者)
  • 赤ちゃんの言葉の発達には母親との相互関係(母親が、子どもに適切な働きかけをすること)が大事。(ジェローム・S・ブルーナー アメリカの心理学者)

特に興味深かったのは、子どもが絵本などを理解するようになるまでの説明です。
↓のようなステップを経て子どもは直接絵本を理解できるようになると説明されていました。
  • はじめは、子どもは直接絵本を理解することはできない。最初は絵本が大人と子どもの関係をつなげる時期。
  • 次第に、子どもは、絵本を読む大人を通じて、絵本を読むことを内面化していく。
  • 子どもは、大人を通じなくても絵本を読めるようになる。

後半では、読み聞かせに関する親の育ちや、読み聞かせがストレスになってしまう場合などの負の側面にもふれられ、それへの対応が提案されます。
アンケート調査の結果から、読み聞かせをしているほうが育児ストレスが少ない傾向などが示されましたが、一方、4歳くらいで読み聞かせの回数が減ったり終わってしまう場合が多いことや、読み聞かせを無理に行っている人の中にはストレスを感じる人もいる、という結果も出たようです。

筆者は、それに対し、次のようなことを書いています。
  • 調査結果から、親自身の楽しみを絵本の読み聞かせの目的に挙げる親は少なかった
  • 親自身の楽しみとして絵本を読むという意味を見出すことで、読み聞かせが継続できるのではないか

私自身は8歳の娘とまだ絵本を一緒に読んでますが、私自身の楽しみが大きかったからかなぁと改めて思いました。