2012年11月24日土曜日

図書館でのカビ対策について

職場の書庫でカビが発生しています。
まったく知識がないので調べてみることにしました。


■カビ対策の現状

カビ対策はこれまで臭化メチルによる燻蒸が主流だったが、
臭化メチルがオゾン層破壊物質として認定され、2005年以降使用禁止となった。
それをうけてIPMの考えが普及するようになった。
※IPM:Integrated Pest Management
総合的有害生物管理 化学的方法のみにたよらない管理方法
日本では高松塚古墳壁画にカビが発生した問題を機にカビ対策への注目が集まったが
専門家の不足や、知識を共有するネットワークの不備が指摘されている。

■カビについて

胞子が風に運ばれて付着、適度な水分と栄養分を得て「コロニー」(菌糸のかたまり)を作る。

活性カビは湿ってぬるぬるしている、不活性カビは乾燥している。
美術館・博物館・図書館でのカビ被害は好乾性のカビが多い。
大きさは1-200ミクロン。
カビの大きな原因は湿度。相対湿度100%なら約2日、65%なら約3年でカビがはえる。
ホコリは栄養分となる。材質によってもはえやすくなる。

■予防策

温度20度、相対湿度60-65%以下に保つ。
結露をさけるため、急激な温湿度の変化は避ける。
書架の最下段を上げ、通気性を高くする。
空気清浄機(化学物質をださない単純なもの)を使用。
本の天の部分に薄よう紙をかけ、ほこりよけとする。
外壁に面した場所に書架をおかない。おいてある場合は資料を壁からはなす。
1週間に1度、定期的に清掃する。
HEPAフィルターつき掃除機を使用する。
※HEPAフィルター:High Efficiency Particulate Air フィルター
カビ胞子をとらえられる 細かい目のフィルター

■はえてしまったら

カビ発見時には隔離、専門家に相談の上、除去
資料はシリカゲルなどの乾燥剤などとともに紙箱にいれ隔離
資料に薄い用紙などをかけ、扇風機でゆっくり乾かす
ビニール袋に密閉して冷蔵庫、もしくは冷凍庫に入れる
HEPAフィルターつき吸引装置で吸引(スクリーンの上から)、もしくはブラシではきおとす
エタノール(濃度70-80パーセント)でふきとる
不活性なカビは多重フィルターつきの掃除機で吸い込む(小さいブラシ・ノズル等を使用)
発生した場所はHEPAフィルターつき掃除機で掃除、湿度をチェック、家庭用消毒剤でふきとる

■処理時の注意点

屋外で行うか、部屋の中であれば換気を行いつつ、胞子をまきちらさないよう留意
人体に悪影響があるので注意。完全防備する。
処理時に使用したものは密閉して廃棄、廃棄できないものは殺菌。


今すぐできる対策というとやはりHEPAフィルターつき掃除機での掃除、
はえてしまった場合はエタノールでふくか、HEPAフィルターつき掃除機ですいとる  ということのようです。
書架の一番下をあけておくのは、あまり意識したことがありませんでしたが、
通気性のためや、水害の際も有効だそうなので、余力があればやってみようと思います。


<参考資料>

・国立国会図書館. “カビが発生した資料をクリーニングする”. 国立国会図書館.
図書館員がカビのクリーニングをする際の具体的手順・注意事項等について詳しく書いてある。

・木川りか「書籍・資料のカビとその対策」『アジア古籍保全講演会記録集』東京大学東洋文化研究所 2008.3 pp.227-247.
参考となる資料の紹介、カビについて、その詳しい内容が紹介されています。
初心者が読んでもわかりやすく、具体的な方策が多く示されていました。

・文部科学省カビ対策専門家会合報告書「カビの発生予防と早期発見のために」2007.3
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sonota/001/toushin/07051008.htm
カビ対策が未整備な現状について、資料の紹介、今後のぞまれる方策についてなど。
今、カビがはえた場合にどうするかというような具体的なことはあまり書かれていない。
施設環境管理指針(試案)が添付されている。

・『IFLA図書館資料の予防的保存対策の原則』「3保存環境」日本図書館協会 2003. ※国会図書館による日本語訳

温度と湿度について、光や汚染物質、害虫についてなど詳細に説明がある。
カビの対処法については第4節で詳しく書かれている。



ウェブサイトの参照日は2012.11.24です。

2012年10月21日日曜日

家庭文庫・地域文庫について

子どもの読書推進運動に古く歴史を持つ家庭文庫・地域文庫について
以下の文献の内容をまとめます。

清原慶子. 地域社会と社会教育: 文庫活動の展開と主婦の意識変化をめぐる一事例研究. 慶応義塾大学大学院社会学研究科紀要 : 社会学心理学教育学. 1978, 18, p.65-73.

文庫とは、

「付近に住む子どもを対象として、児童図書の閲覧や貸し出しをするために、
市民によって設置、運営されている小さな図書館」

<家庭文庫・地域文庫の歴史>

昭和20年代~ 村岡花子「みちをライブラリー文庫」、金森好子「クローバー子ども図書館」
「土屋文庫」、石井桃子「かつら文庫」が開設された 
昭和37年 「家庭文庫研究会」設立 →「家庭文庫」の名称が定着
昭和42年 町田市立図書館の働きかけで町内文庫設立→「地域文庫」の名称が定着
昭和45年 文庫数:266
昭和51年末 文庫数:約3000まで増加

<子どもの読書に関する歴史>

昭和30年~ 「悪書追放運動」
昭和35年 椋鳩十(鹿児島県立図書館)「母との子の20分間読書」を提唱
昭和42年 「日本親子読書センター」設立
昭和45年 「日本子どもの本研究会」「親子読書・地域文庫全国連絡会」設立

<主な活動内容(三鷹市にある文庫への調査より)>

児童書の閲覧・貸し出し
読み聞かせ・ストーリーテリング
人形劇・工作の指導等のその他の活動

<運営方法(三鷹市にある文庫への調査より)>

乳幼児を持つ母親のボランティアによる
図書は図書館からの団体貸し出しや、市の助成金による購入、寄贈本

<その他>

文庫活動経験者が、図書館作り運動の中心となった例も多い
文庫活動経験者による、絵本や読み聞かせに関する勉強会等の学習機会も増加した




2012年10月12日金曜日

有価証券報告書の調べ方



有価証券報告書の調べ方についてまとめます。


■有価証券報告書(annual securities report )とは

企業が金融商品取引法24条の定めにより、事業年度ごとに毎年提出する報告書。
事業年度終了後3か月以内に内閣総理大臣に提出。
提出会社や事業の概況などの投資情報が記載されている。
上場会社(1部・2部・店頭登録・外国上場会社)のほか、有価証券保有者1000人以上、
有価証券の募集または売り出しにあたり有価証券届出書または発行登録追補書類を
提出した企業なども提出義務がある。

 *参考:Yahoo!百科事典(『日本大百科全書(ニッポニカ)』)

 ※有価証券報告書提出会社=上場会社ではないので注意
 ※明治~昭和25年度 (旧商法時代)は営業報告書(または考課状)




■閲覧方法

・『有価証券報告書総覧』(株)朝陽会発行
冊子体の形で刊行されている。 
提出会社は以下のwebサイトで検索できる。
有価証券報告書 | 政府刊行物 | 全国官報販売協同組合
http://www.gov-book.or.jp/securities/index.php 

EDINET
金融庁運営の、有価証券報告書やその他の企業提出書類の開示システム。
有価証券報告書は受理後5年間閲覧できる。

有価証券報告書データベース
東京大学経済学図書館・経済学部資料室 作成のデータベース。
公開範囲:昭和36(1961)年?昭和60年(1985)年 ※原則として東証1部上場企業

※その他、各図書館では、マイクロ化されたものを所蔵していることがある。

※各図書館で、SPEEDA、eol、NEXT有報革命などの有料データベースを使用できることがある。


■国内図書館での所蔵状況・調べ方等へのリンク

有価証券報告書 | 調べ方案内 | 国立国会図書館

有価証券報告書を閲覧するには | 早稲田大学図書館

有価証券報告書の閲覧について(大阪府立中之島図書館)

図書館活用術 - 文献の探し方 - 会社・団体情報 - 有価証券報告書などを調べる|関西大学図書館

経済・ビジネス | 文献の探し方 | 情報検索サポート | 一橋大学附属図書館

(すべて2012.10.12にアクセス)




2012年9月9日日曜日

読書会コーディネータ養成講習会 in神戸

学校図書館協議会主催の「「読書会コーディネータ養成講習会」に参加してきました。

日時:2012年9月8日(土)10:00-16:00
場所:のじぎく会館(神戸)
講師:長尾幸子氏(厚狭高校)


以下、内容まとめです。

☆講師や厚狭高校、合同読書会の取り組みなどの紹介

■厚狭高校では学科の統合に際し図書館を一新。
設備、資料の充実した様子がうかがえた。

■長尾氏が中心となり合同読書会を開催。
今では高校の卒業生や地域住民の方も参加。

☆読書会とは

■読書会の意義は、読書の感動を表現し、さらに共有できること。
読書感想文や読書ノートではできないこと(=交流)ができる。

■読書会の形 
<本の選び方・読み方>
・テーマを決めて各参加者が自分のおすすめ本を持ち寄り紹介しあう
・一人が自分の推薦図書を紹介し、それにつき話し合う
・あらかじめ1冊の図書を決め、それについて話し合う
※あらかじめ読んで来たり、その場所で一緒に読んだり、
誰かが読み聞かせをするなどの方法がある

<話し合いの方法>
・作者を囲んでの話し合い
・バズセッション形式 ※人数が多すぎると話し合いが難しいため 
・パネスディスカッション形式
・プレゼン形式


その他、行う時間(授業/LHR)や、参加者(高校生/中学生/教職員/卒業生・・etc.)により
条件が異なる

☆読書会をひらく

■選定する本の条件
・参加者が心惹かれるものであると同時に、主催者が心惹かれるもの
・普遍的なテーマと現在的なテーマがうまく組み合わさっているもの  
・入手しやすいもの(安価なもの、著作権切れのもののコピー、SLAの集団読書テキストなど)

■日時を決定
・テストや運動会などのほかのイベントがないとき
・読書週間や文化祭など、読書に関する盛り上がりのある時期

■参加者を募集
ポスターやチラシで広報

■役割分担
司会、記録係、朗読係など

■流れの作成
<流れの一例>
①自己紹介、本の感想や疑問
②印象的な部分について紹介しあう
③疑問や話し合いたいことを決める
④登場人物と同じ経験や思いについて語り合う
⑤読書会を終えての感想を言い合う

※最初におおよその流れ(テーマ)を決めておくが、実際はどのように流れがそれていってもOK

■感想文集の発行
・報告冊子 当日の流れや、参加者の感想などを冊子にまとめる
・読書ボード どくしょ甲子園(*1)で行っている試み。
キャッチフレーズ・感想・絵などをひとつのボードにまとめる

※厚狭高校では、長尾氏と学生による図書委員会で上記のような計画・運営を行っているとのこと


☆読書会の実践例の紹介

■中学生と高校生の合同読書会
■ディベート形式での読書会

☆質疑応答

■読書会の素材は小説の方がいいか?→ノンフィクションでもOK
■ビブリオバトルとの違いは?→読書会には勝ち負けや正解がないというよさがある


☆読書会の実践

石田衣良「夕日ヘ続く道」を素材に、4グループにわかれて(各班7-9名)読書会を行った。
はじめの30分でテキストを読み、感想をまとめた。
そのあと2時間ほどで司会を中心に感想を話し合い、最後に各班の発表を行った。



【感想】

読書会をいざやってみると、自分ひとりでは気づかなかった視点や感想を聞くことができ
読みが深まった。
ふだん考えないような次元のことを深く考え、言葉にするというよい経験だと思う。
私のグループでも、親子関係から教育論まで、とても深い議論になりおもしろかった。
ぜひ大学生を対象にひらいてみたい。

実際読書会を開くとなると、用意するテーマが重要になる。
昨日の読書会でもいくつかのテーマ(設問)が用意されていたので、議論が深まった。



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*1 どくしょ甲子園
朝日新聞の主催で、2010年にスタート。
4人前後の高校生のグループで、読書会でとりあげた本や読書会の楽しさを1つのボードにまとめ、応募する。

2012年8月25日土曜日

大学の教育目標

大学図書館が何をすべきか考えるにあたって、
大学の教育目標をしっておかねばなーと思い、調べてみました。

大学は、高校までと違って学習指導要領というものはありませんが
法令や、最近発表された公的文書では以下のように書かれていました。

・中教審大学分科会審議まとめ

予測困難な時代において生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ」 (H24)


「このような時代にあって、若者や学生の
「生涯学び続け、どんな環境においても
“答えのない問題”に最善解を導くことができる能力」を育成することが、
大学教 育の直面する大きな目標となる。
学士課程教育は、学生の思考力や表現力を引き出 し、その知性を鍛え、
課題の発見や具体化からその解決へと向かう力の基礎を身に つけることを目指す
能動的な授業を中心とした教育が保証されるよう、質的に転換 する必要がある。
大学には、その転換に早急に取り組む責務がある 。 」  (p. 1より)


・中教審答申
学士課程教育の構築に向けて」(H20)


「学士力 ~学士課程共通の学習成果に関する参考指針~ 」として
以下の項目があげられています。

1知識・理解
(1)多文化・異文化に関する知識の理解
(2)人類の文化,社会と自然に関する知識の理解

2汎用的技能
(1)コミュニケーション・スキル
(2)数量的スキル
(3)情報リテラシー
(4)論理的思考力
(5)問題解決力

3 態度・志向性
(1)自己管理力
(2)チームワーク,リーダーシップ
(3)倫理観
(4)市民としての社会的責任
(5)生涯学習力



4総合的な学修経験と創造的 思考力
これまでに獲得した知識・技能・態度等を総合的に活用し,
自らが立てた新たな課題にそ れらを適用し,その課題を解決する能力 」
(p. 12-13)


・教育基本法第七条 (H18)

「大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、
深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、
社会の発展に寄与するものとする。」



・学校教育法第五十二条 (S22)

「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、
深く専門の学芸を教授研究し、
知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」


近年になるに従い、問題解決力や、
その前提となる、問題を発見する力が
重視されるようになったようです。




2012年8月21日火曜日

初年次教育について(中教審答申より)


初年次教育で教える内容にはなにか指針があるのだろうか?
というわけで、初年次教育についてふれられている、
以下の公的文書を確認することにした。



文部科学省中央教育審議会大学分科会「学士課程教育の構築に向けて(答申)」
2008年12月24日



「我が国の大学においては,初年次教育として,「レポート・論文などの文章技法」,「コ ンピュータ

を用いた情報処理や通信の基礎技術」,「プレゼンテーションやディスカッシ ョンなどの口頭発表の

技法」,「学問や大学教育全般に対する動機付け」,「論理的思考や 問題発見・解決能力の向

上」,「図書館の利用・文献検索の方法」などが重視されている。」

(本文p.35より抜粋)




「高等学校から大学への円滑な移行を図り,大学での学問的・社会的な諸経験を“成功”させるべ

く,主として大学新入生を対象に作られた総合的教育プログラム。高等 学校までに習得しておく

べき基礎学力の補完を目的とする補習教育とは異なり,新入 生に最初に提供されることが強く意

識されたもので,1970年代にアメリカで始め られ,国際的には「First Year Experience(初

年次体験)」と呼ばれている。具体的内容としては,(大学における学習スキルも含めた)学問的・

知的能力の発達,人間 関係の確立と維持,アイデンティティの発達,キャリアと人生設計,肉体

的・精神的 健康の保持,人生観の確立など,大学における教育上の目標と学生の個人的目標の

両者の実現を目指したものになっている。」 


(用語解説より抜粋)



※これにさきがけて、中教審大学分科会の「学士課程教育の構築に向けて(審議のまとめ)」
(2008.4.1)でも同様の文面で言及されている。



高等教育には、高校までのように「学習指導要領」のようなものがなく
初年次教育に関しても、指針があるわけではないみたいだが、
現在重視されている内容は、学習に必要な基本的スキルが中心のようだ。

今度は各大学の具体例をみていくことにする。


<参考>

中央教育審議会
大学分科会

2012年8月20日月曜日

初年次教育について


初年次教育で読書とか読解力を教えている例を調べようと思ったが

まずは初年次教育そのものについて各社新聞サイトで調べてみた。

__________________


目的:大学新入生を大学生活に適応させること


内容:生活面(時間管理法やストレス対処法など)から

学習方法(図書館の利用方法、ノートの取り方、論文の書き方など)まで、幅広い分野


特徴:従来大学では教えなかったような幅広い分野の内容を新入生に集中的に学ばせる。


方法:少人数ゼミ、文理融合(学際的科目の設置、文⇔理系の相互履修など)、

リメディアル(補修)教育、ポートフォリオの導入・・・など


背景:

ゆとり教育・入試の多様化・少子化・大学の増加などによる、大学生の学力の低下問題。

学士課程修了生が社会人としての力を備えていないという社会からの要請。

中途退学・早期離職者の存在。


現状:

調査に回答した1378学部のうち約9割が何らかの形での初年次教育を実施。    

(2007年度、文部科学省国立教育政策研究所)


実施例:

関西国際大学では2000年より実施。

テキストとして作成した『知へのステップ』(くろしお出版)は、100以上の大学で採用された。


その他、文科省のGPでの取り組み例


起源:米国で学生運動が終了した1970年代ごろから、

学生を学習に向かわせる対策として行われた。

しかし初の米国での新入生向けのセミナーは、ケンタッキー州のLee大学で1882年に行われ、

単位のもらえる履修科目としてのセミナーはReed大学で1911年に行われたが

その後1960年代ごろまでにはだいぶ下火になっていたという。



最近の動向:2008年3月に「初年次教育学会」発足。


<コメント>


基本的な態度や生活に関することまで、初年次教育が対象とすることは思いのほか広い。

とはいえ、表現力とかコミュニケーション力・アカデミックライティングなど、

言葉に関する能力はやはり重視されているようだ。



最近は、「ラーニング・アウトカム」=学習効果 をいかに高めるか、に注目が集まっているらしい。



「図書館の利用方法」「文献の探し方」などについてのみならず

「どういう目的のもとで本を探すか」とか「探した本読んでどう自分に生かすか」

についても大学図書館が学生に案内できれば、

「ラーニング・アウトカム」を高めることへの貢献 につながるのではないかと思った。




参考ページ

University of South Carolina. "Welcome to University 101". http://sc.edu/univ101/, (参照2012-8-19).

2012年8月19日日曜日

大学生の読書推進活動



「国民読書年」ということで、なんとなく読書推進活動が盛り上がっていた2010年。

公共図書館での各種イベントや、赤ちゃん向けの「ブックスタート」のほか

小学校~高校では、授業の中で読書指導を行ったり

「ブックトーク」「朝の10分間読書」「読書のアニマシオン」など

いろいろな形で読書推進活動がなされている。

自分の職場である大学図書館ではそれに関わる活動はしていないなぁ・・と思っていたが

Cinii、カレントアウェアネスポータル、新聞記事サイトなどで調べてみたところ、

大学でも以下のような活動が行われていることがわかった。



■大学生協


・読書マラソン(①)

約10年前から全国の大学生協で始まった活動。

活動の原型は2004年度に法政大学生協多摩店で始まった。

在学中に100冊を読破することをめざし、

読後に提出するコメ ントカードが一定枚数に達すると書籍割引券などが 提供され、

カードは実際の本と一緒にポップとして店頭に 出される。

早稲田大学、法政大学などでは大学読書サークルも生まれ、

店頭のフェアの入れ替え、コメントカードの整理、読書会の開催などを行っている。

2005年度からは全国の大学生協からコメントを募集 し「コメント大賞」を決める企画も開始。




■全学的取組

・フェリス女学院大学

図書館運営の委員会のメンバーの教員により提案され

2002年度から「読書運動プロジェクト」が開始。

平成17年度「特色ある大学教育支援プログラム」 (特色GP)採択。(4年間)

全学的に毎年テーマとなる1冊の本を決め、それに沿って

読書会・映画上映・授業開催など様々なプログラムを行う。

テーマとなる1冊は、『火車』、『壁』など、文学作品が中心。

図書館および有志の学生プロジェクトメンバーで運営。

これに関しては書籍が2冊発行されている。(②、③)




■授業

教員が自らの授業で読書指導に取り組んでいる事例


・常葉学園短大学(④)

学生は自分で選んだ本(ノンフィクションの、索引や参考文献・図表のあるもの)を多読し

レポートを作成。教員が添削・指導する。



・富山県立大学(⑤)

学生は思想・文学・科学など幅広い分野の選定図書の中から本を選んで、読後は感想文を提出。

教員が添削・指導する。

ちなみに「棚町方式」と呼ばれる方法を踏襲している



初年次教育などで、ライティングやリテラシー教育とあわせて

読解力についても指導している例もありそう(なので調べてみよう・・)。




■図書館

図書館で行っている活動はある意味すべて広義での読書推進活動と

いえなくもない。

たとえば、



・学生参加型サービス

・教員からの読書案内


などは学生の読書を推進するために行っていることである。

最近の、特色ある試みとしては、たとえば下記のようなものがある。



九州大学附属図書館「booklink」2011.9~

学生がおすすめ図書をウェブ上の本棚「ブクログ」に登録し

次の紹介者を指名することで連鎖的におすすめ図書がレビューされる仕組み。

実物も図書館に展示をする。




帝京大学メディアライブラリーセンター「共読ライブラリー」2012.5~

編集工学研究所と共同で、全学的な読書プロジェクトとして開始。

College MONDO(カレッジ問答)書架群:

学生の悩みや問いに答える本を、著名人・教官・他の学生などが選び配架

読書術コースウェア:

入学時にオンラインのコースをグループ学習し、読書に必要なスキルの習得をめざす




創価大学図書館「Soka Book Wave」2004年度~


学生有志と図書館で構成する団体「Soka Reading Project」が中心となり活動。

読書感想文を提出し、認定された件数に応じてポイントがたまり図書カードがもらえる。

その他講演会や特別展などのイベントも企画。

教育・学習活動支援センター開催の講座(文章読解スキル講座、文章力アップ講座、図書館活用力アップ講座など)

受講でもポイントがたまる仕組み。




京都外国語大学、読書運動「本の虫プロジェクト」2008.6~


「楽読楽書、めざせ100冊!」:学生自身による書評書き込みサイトで、

学生による学生への読書案内ともなっている。

「私のイチオシ」by外大教職員:教職員によるおすすめ本のサイト。


<参考文献>

①佐藤 由紀, 近森 節子, 酒井克彦. 大学生の読書実態と生協組織を通じた学生主体の読書推進運動の構築. 大学行政研究 = University Administration Studies. 2007, 2, p.61-73.

②フェリス女学院大学附属図書館. いま、図書館に求められるもの . ひつじ書房, 2009, 129p., (フェリス女学院大学の挑戦, 1).

③フェリス女学院大学附属図書館. 大学生『火車』を読む. ひつじ書房, 2009, 240p., (フェリス女学院大学の挑戦, 2).

④大場 博幸. 大学における読書教育:その必要性と目標・方法. 常葉学園短期大学紀要. 2010, 41, p.11-24.

⑤中 哲裕. 理工科系大学における国語教育 : 本学における実践的読書指導. 富山県立大学紀要. 2002, 12, p.90-99.





<まとめ>



今回調べてみて、自分が「読書推進活動」としてイメージしていたものには

「読書推進」と「読書指導」のふたつが含まれていたことがわかった。

二つははっきりと境界があるわけではないが


「読書推進」=本を読む習慣をつけるとか、より多くの本にふれてもらう 

「読書指導」=本を読む技術を指導する


というような違いがある。

その役割はそれぞれ違うとも言えるが、

この二つをうまく組み合わせなければ

効果が期待できないとも言える。

大学生は自ら学ぶことがより求められているが

読む力がなければ、いくら多読しても

得るものが少ないのではないだろうか。

大学での「読書指導」のほうにより焦点をあててしらべてみよう。


































2012年6月21日木曜日

テレビとの付き合い方


絵本についてのまとめ、第七弾です。

今回は、絵本と直接関係はないようにも思えますが、

テレビについてまとめたいと思います。


☆赤ちゃんはテレビが好き?


赤ちゃんにテレビを見させて家事をするということは今や珍しくないようです。

赤ちゃんにテレビを見せたら、じっと見ているので

テレビが好きなんだと思い見せていた、というケースもあるようですが

赤ちゃんはテレビが好きなのではなく、より刺激のあるものに目を向ける習性にあります。

止まっているものより動いているもの、地味な色より派手な色に目を向けるので

テレビがついていればそちらに目を向けてしまいます。



☆日本小児科学会の勧告・日本小児科医会の提言



赤ちゃんのテレビ視聴に関する影響は科学的にはっきり立証されたわけではありません。

しかし、日本小児科学会は、2004年に次のような内容の勧告を出しています。


・2歳以下の赤ちゃんは長時間の視聴は避ける

・1人で見せない

・授乳中や食事中は見せない など


日本小児科学会 | 乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴は危険です


この学会による勧告の前に、米国でも同様の勧告が出されたそうです。

また、この学会が1歳6か月の子どもを対象に行った調査では、

長時間のテレビ視聴を行っている子どもに有意語発現の遅れが見られる傾向が

あったそうです。

テレビ視聴時は親子の会話が減ってしまうこと、

子どもの言語の取得には双方向のコミュニケーションが必要であり

テレビだけではどうしてもその役割は果たせないこと

などが指摘されています。


また、日本小児科医会も2004年に次のような提言を発表しています。


・2歳以下の赤ちゃんのテレビ視聴は控える

・すべてのメディアに接する合計時間に制限を設ける など


日本小児科医会 「子どもとメディア」の問題に対する提言


しかし現在では核家族が増え、日中に母子二人ということは珍しくありません。

そんな中テレビの手を借りてしまうことを一概に責めることはできないと思います。


しかし親は、テレビの影響の大きさを知った上で、

赤ちゃんの間はできるだけ見せないようにする、

大きくなってからも付き合い方をうまく考える努力が必要です。


☆テレビのかわりに読み聞かせを


できるだけ赤ちゃんにテレビを見せないですむように・・・

そんなときに絵本の読み聞かせ をぜひ取り入れていただきたいと思います。

私自身、「テレビでもつけよう」となってしまうのは

どうにもこうにも娘が不機嫌なとき、家事が進まないとき、

自分がつかれたとき・・などです。

娘に限っては、絵本を2-3冊読んであげればかなりの確率でご機嫌になり

その後家事をしたりすることができます。

(もっと、もっと!となり、終われなくなるときもありますが。)

絵本への反応は子どもによりそれぞれだとは思いますが

子どもがお母さんにかまってほしいときには絵本の読み聞かせは

効果があるのではないかなぁと思います。


☆読書とテレビの違い


さらに、子どもが大きくなってきたとき(もちろん親自身も)

読書をするか、テレビを見るかでは様々な違いがあります。

読書とテレビの違いとして、以下のようなことが言われています。


・本よりテレビの方が語彙が少ない

・本を選んだり文章を読むという行為は、

テレビをつけて見る行為より自発的であり、意思・行動力を養う

・読書は情景を思い浮かべたり文法を駆使したりと技術を要するが

テレビは一方的に受容することが多い

・テレビにはCMがつきものであり、CMにより集中力が寸断されたり

なんでも安易に解決できるような感覚を身に着けたりしてしまう

・テレビに登場する人物には偏りがあり、実際の世界とは異なる



※本とテレビの比較については、この本に詳しく書いてあります。


また、テレビを見ているときは休息時よりも代謝がおちているくらい

頭と体が活動していないそうです。


だからといって絶対にテレビを見てはいけない、

本さえ読んでいれば子どもは健全に育つ、というものでもないですし

テレビと読書以外にも行うことは山ほどあると思いますが

たとえば1日3時間当たり前のようにテレビを見ていると

実はすごくテレビの影響を受けているかもしれないということは

自覚の必要があるのかなーと思います。

10-30歳の青少年5000人を対象にした下記の調査によると

第5回情報化社会と青少年に関する意識調査報告書 
平成19年12月 内閣府政策統括官(共生社会政策担当)

1日の平均テレビ視聴時間は2時間45分くらい、本や雑誌を読む時間は約40分だそうです。








2012年6月19日火曜日

絵本を繰り返し読むこと

絵本についてのまとめ、第六弾です。

今回は、絵本を繰り返し読んであげることが子どもにとってどんな意味を持つのか

紹介したいと思います。



家で読み聞かせをしているお母さんは、子どもが何度も繰り返し読むのをせがむので

うんざりしてきた・・という経験があるかもしれません。

私自身がその一人です。。



しかし、子どもが絵本を繰り返し読みたがるのには

次のような意味があるそうです。



☆知っているものを再確認することで知識を深めたり

絵本の世界をより深く理解することができる




☆読むたびに新しい発見をしている



☆知っている筋を読むことで安心する

小さい子どもは、何かが自分の予想通りになるということに

とても安心し、喜びを感じるそうです。



☆子どもが自分の気持ちを重ねやすいことを表している

繰り返し読む絵本に注目することで、子どもの興味や状態が

わかるかもしれません。



☆絵本の絵で遊んだり、ストーリーをもとに会話をするなど

絵本をただ単に「読む」以上のかかわり方を編み出している


絵本が「遊び」に発展しているからこそ、

飽きることなく繰り返し読む、ということがあるようです。





つまり、絵本を繰り返し読むことは

お母さんにとってはなかなか大変なことだったりするのですが

子どもにとっては心の発達を促し、大きな満足となることであることがわかります。



絵本作家の長谷川摂子氏は、子どもが繰り返し絵本を読むことを

大人が音楽を聴くことに例えています。

大人は絵本はあまり繰り返し読まないけれど、音楽は飽きるまで繰り返し聞きます。

それは、絵本は頭で理解しているのに対し、音楽は身体で感じているからではないかと。

(『絵本が目をさますとき』福音館書店, 2010)

絵本が目をさますとき

子どもは絵本も音楽のように、身体で感じているのですね。

だとするとその子どもの豊かな感性を

そのまま伸ばしてあげたいなぁ、と思うようになりました。



また、子どもにつきあって何度も何度も絵本を読んでいると

10回目、20回目で初めて気づくことが出てきたりします。

ストーリーを理解するのは簡単でも、絵を読むというのは奥が深いなぁ・・と思います。



ストーリーを理解するだけならどんどん数をこなしていけるけれど

本当に大切なのはそうやって一つの作品にじっくり向き合い

自分の解釈を広げていくことなのではないかと思います。



絵本を見る目を養うにはある程度の冊数を読まなければならないでしょうが、

子どもに対しては、冊数を多く読むことより

同じものを繰り返し繰り返し、味わいながら読むことに重点をおきたいと思っています。




















読み聞かせで気を付けること



絵本についてのまとめ、第五弾です。

今回は、家庭で読み聞かせをするときの方法・注意することなどについて紹介します。

まず前提となることは、

おはなし会での読み聞かせと、家庭での読み聞かせは違う

ということです。

おはなし会は、新しい絵本との出会いのきっかけとなったり、

子どもを連れてでかけることでリフレッシュになったりと

いいことがたくさんありますが、おはなし会に連れて行っているから

家で読まなくていいかというとそんなことはありません。

1対1で、大好きなお母さん(もしくはお父さん、ほかの家族、身近な人・・etc)が

時間を割いて読んでくれる、というところに

子どもは愛情を感じ、読み聞かせが心の糧となっていきます。

ここでは、家庭での読み聞かせの方法をご紹介します。


☆感情移入しすぎない


子どもに伝えたいのはあくまで絵本そのものであり、

読み手はその絵本を子どもに伝える仲介者です。

仲介者が大げさに声色を変えたりして読むことは

読み手の解釈を子どもに押し付けることにもなりますし

子どもは読み手の演技が気になって絵本の内容にはいっていけません。

ゆっくり・はっきりと、内容が伝わるように読みましょう。


☆最初から最後まで正確に読む


表紙から見返し、標題紙、裏表紙まで、すべてが絵本の世界を表しています。

すべてをゆっくりと開いて見せてあげましょう。

また、会話やちょっとした言葉をさしはさむのはいいのですが

絵本の言葉は勝手に変えたりせず忠実に読みましょう。

子どもが大きくなってきたら、表紙の作者・画家などの名前を読み上げましょう。



☆質問をしない


読んだあとなどに、質問をしたり感想を聞いたりすると

子どもにとってはプレッシャーになってしまいます。

もし子どもが、作者の意図とは違う読みをしていたとしても

それを訂正したりせず、子どもの自由な解釈にまかせましょう。

むしろ、子どもの発想に驚かされることなどがあって、面白いです。

子どもが感想をいってきたり、会話を求めてきたときはそれに応じましょう。



☆できるだけくっついて


子どもが絵本を読みたいときは、絵本を読みたいのに加えて

お母さんとのスキンシップを求めていることも多いようです。

ひざの上だとお母さんの心音が伝わり、子どもは安心するそうです。



☆子どもの読みたいときに読む


子どもが読んでほしいといってきたときは、

忙しくても家事の手をとめて読んであげられるのが理想ですが

そうもできない場合は、家事の前や寝る前など、

時間を決めておくのもひとつの手です。

「あとで」ではなく、まず最初に読んであげることで

子どもの欲求がみたされるようです。

逆に、子どもが興味を示さないときに無理に読むことは

やめましょう。

さらに、繰り返し読んで!と言われるときは

繰り返しを拒まないで読んであげることが

想像以上にいろいろなよい効果をもたらすようです。

これに関しては次回まとめてみたいと思います。




そして何より一番大切なことは


お母さんも一緒に楽しむ ということです。

そのためにも、子どもへの教育効果などを期待するのではなく

一緒に楽しむ気持ちで、絵本を読めるといいですね★

そのためにも絵本選びがけっこう大事です。

自分のお気に入り、子どもに伝えたい1冊を

見つけていきましょう☆



★このページの内容を書くのに参考にした本の一覧は、下記のページにまとめて紹介しています。

http://flowerkayoko.blogspot.jp/2012/04/blog-post_24.html

また、NPO法人「絵本で子育て」センターの「絵本講師養成講座」のテキストも参考にしました。
















2012年6月10日日曜日

『出版大崩壊』



<内容のまとめ>

☆日本の現況

2010年は下記のような出来事があり「電子書籍元年」といわれた。

・各出版社・印刷会社・取次・書店・新聞社・電気機器メーカーなどが電子書籍事業に参入

・総務省・経産省・文科省が
「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」開催

・シャープ「GALAPAGOS」、ソニー「ソニーリーダー」などの電子書籍専用端末リリース

しかし現状では、携帯向けの漫画コンテンツが大半を占め、

一般的な電子書籍の流通はすすんでいない。


☆アメリカの現況

・2008年に発売されたアマゾン「kindle」がヒット(通信料金をアマゾンが負担)

・2010年、「Google E-books」、コンテンツ300万点をそろえてオープン。

※Google books プロジェクトでは、2009年初めまでに700万冊の大学図書館の蔵書が

電子化されたが、こちらは著作権をめぐり法廷での論争となった。

販売されるのは契約した出版社のもの。


☆ビジネスとしての電子書籍

1996年の最高記録(2兆6563億)以来

出版物売上高は連続で減少し2010年は1兆8748億。

その打開のためもあり、出版関係各社は電子書籍事業に着手せざるをえないが

電子書籍は印刷代・流通経費等が不要となる一方で、開発費等のあらたな費用が経営を圧迫。

著者がアマゾン・アップルなどのプラットフォームと直接契約すれば出版社は不要。

また紙の書籍より廉価でなければ購入が見込めないため、採算をとるのが困難。

そうなると出版社がビジネスにできるのは

音楽・映像等と融合させたリッチコンテンツとしての電子書籍の配信 

しかない。



☆デジタル・コンテンツのたどる道

デジタル化が進めば、音楽等と同様に違法コピー・共有サイトなどが蔓延。

技術的に完全に阻止することは困難。

いまや音楽もゲームも、YoutubeやSNSで無料で利用する時代。

ウェブ上で流通する情報は無料との利用者の認識により

有料のコンテンツをウェブ上で販売し採算をとるのは困難。


☆著作権

・著作物には複数の著作権者が存在し、著作権処理が困難。

「デジタル・コンテンツ利用促進協議会」の提案:

各著作物に著作権者を一人とし、許諾権ではなく報酬請求権を設定

・これまで日本の出版物に関しては契約書のないものも多くあった。

電子化に関してはさらに著作権問題が複雑になるため、出版社では契約書の形式を新たに作成するなどの対応。


☆自費出版

作家志望者の機会は増大するが、成功できるのは一握り。

また作品の増大にともない、プロの作家の作品もそれにうもれていくのでは?

自分にとって必要な作品・価値のある作品に出会うのがより困難になる。



<感想>

電子書籍元年といわれた2010年からの電子書籍に関する動向を概観することができる。

筆者は(日本での)電子書籍には悲観的で、

それは主にビジネスとして成立しないということが理由のようだった。

一利用者として考えれば

端末によって利用可能なコンテンツが左右される現状が解決されてほしい。

紙媒体の本でできていたこと(=どの本屋でもどの本でも買える)が電子書籍ではできないのでは

利用する気になれない。

しかし現状では、各社が競ってそれぞれのサービスを開発していたり

著作権の処理の問題がいっこうに解決されていなかったりして

そんな未来がくるとも思えない・・。

今はただ、書籍を電子化して専用の端末で書籍を読むことが「技術的に」可能になったというレベルなんだろうなぁ。

それがいいことなのかどうかもわからない。

筆者のバックグラウンドからも当然だが、出版社の立場から電子書籍を論じてあるので

図書館とか学術情報流通という視点からすればまた全然違う論点がでてくるだろう。




















2012年6月3日日曜日

子どもの読書関連団体 リンク集

絵本や子どもの読書に関連する団体は多数あります。

関連する団体のウェブサイトから、

イベント情報や機関紙情報、本の検索システムなど

比較的実用的な情報の掲載されているものを中心にまとめてみました。




うちどくホームページ

「家読」(うちどく) とは、全国の学校で多く取り入れられている「朝の読書」に続き

家でも本を読み、家族で読書の習慣を共有しようという取り組みです。

このページでは「うちどくブックガイド」「うちどくノート」をダウンロードできます。



うちどく.com:家読推進プロジェクト

各自治体の読書推進計画へのリンクから、

朝読、家読についての情報まで、かなりの情報量。




絵本学会

刊行物『絵本BOOKEND』、『絵本学』の内容が掲載されています。

リンク集もあります。




特定非営利活動法人 絵本・児童文学研究センター

「大人にとっての児童文化」なるものが本センターのテーマです。」(工藤 左千夫氏)とあるとおり

大人が児童文学を学ぶことを通して子どもの視点を取り戻していくことを目的としているようです。

「児童図書相談士」検定を主催、その他イベントや刊行物の紹介があります。



財団法人大阪国際児童文学館

「日本のこどもの本100選」(日本の児童文学作品の書誌と解題のデータベース)や

「ほんなびキッズ」(子どもの読書を応援するサイト)、

「おはなし会データベース」(開催されたおはなし会や、絵本の検索もできるデータベース)、

「本の海大冒険」(小学生向けの読書ナビゲートサイト)、

「子どもの本いま・むかし」(児童文学作品の画像とテキスト・解題のデータベース)など

独自に作成されたデータベースが多数あります。

『国際児童文学館紀要 』を含む出版物の紹介もあります。



児童図書館研究会

機関紙『こどもの図書館』の内容紹介、イベント情報など。



JPIC 一般財団法人 出版文化産業振興財団

JPIC読書アドバイザー養成講座などの講座情報やイベント情報、

機関紙『『この本読んで!』 の内容など、コンテンツ多数。

子どもに限らない読書推進についての情報が得られる。



公益財団法人 東京子ども図書館

講座情報など多数。機関紙『こどもとしょかん』の紹介もあり



社団法人 読書推進運動協議会

読書カレンダー(読書に関するイベントカレンダー)、機関紙「読書推進運動」の過去1年のバックナンバーなどが見られます。



JBBY - 社団法人 日本国際児童図書評議会 -

『ブックバード 日本語版』(IBBY=国際児童図書評議会の機関紙翻訳版)の紹介や、

イベント情報など。



日本子どもの本研究会

月刊書評誌『子どもの本棚』の紹介や、イベント情報など。



こどもの本 on the Web 日本児童図書出版協会

『月刊 こどもの本』の紹介、“さがしています。こんな本”(テーマ別絵本紹介など)



日本児童文学学会<専門的>

紀要『児童文学研究』の紹介、研究大会情報など



日本児童文学者協会<専門的>

『日本児童文学』の紹介、講座情報など



日本児童文芸家協会

雑誌『児童文芸』の紹介、イベント情報など。出版社や関係団体リンク集あり。



梅花女子大学児童文学絵本センター

センター主催イベント情報のほか、全国の絵本関連イベントカレンダーへのリンクあり。


NPOブックスタート

日本各地や世界での活動状況が報告されている。



財団法人文民教育協会 子どもの文化研究所

研究誌『子どもの文化』および月刊「子どもの文化」の紹介、セミナー情報など



公益財団法人 文字・活字文化推進機構

2010年国民読書年に関する情報など。読書関連リンク集あり。



子どもの読書活動推進ホームページ:文部科学省

関係法令、データ、イベント紹介など。



子ども読書の情報館

文科省作成の、子どもの読書に関する情報の統合サイトのようです。

データや、全国の取り組み紹介のほか、

投稿者からの情報をもとにした本の検索システムもあります。



児童サービス・学校関係者の方へ|国立国会図書館国際子ども図書館

国立国会図書館国際子ども図書館のページ。

子どもの読書に関する調査結果、法令、昨今の動きなど、かなり網羅的にまとめられています。リンク集もあり。





※上記は2012年6月3日現在の情報です。







2012年5月31日木曜日

「国民の読書推進に関する協力者会議」報告書 「人の、地域の、日本の未来を育てる読書環境の実現のために」平成23年9月


読書推進を考えるにあたって、

その根拠となっているもの(法令など)はなんだろう?と調べていると

少し前にこんな報告書が発表されていたのを見つけました。

読んで内容をまとめてみることにします。



国民の読書推進に関する協力者会議」(H22.7~)


はじめに


思考力・言語力の低下が懸念される近年、


以下の様に読書推進の動きが盛り上がってきていた。





平成13年 「子どもの読書活動の推進に関する法律」制定

平成17年 「文字・活字文化振興法」制定

平成19年 「学校教育法」の一部改正

義務教育の目標に関する規定に「読書に親しませ」との
文言が追加された

平成20年6月 「国民読書年に関する決議」採択

(平成22年を「国民読書年」とすることを決定)




「国民読書年」の活動の一環として、

平成22年7月に「国民の読書推進に関する協力者会議」が設置され

本報告書は、平成23年9月に発表された。




第1章なぜ今読書が必要なのか




読書が「思考力、判断力、表現力、コミュニケーション力など」を育むということはよく言われる。

なぜあらためて今、それが必要となってくるのか。




「21世紀の社会は、自ら考え判断できる自立した 個人の連帯により支えられるものであり、

そうした個人の育成と協働性の涵養のために、 読書は欠くことのできないものである。」





その根拠は、




「近年、様々な社会的課題を「官」だけに任せるのではなく、

国民、企業やNPO等の 事業体などの当事者が自発的に協働し、解決することが期待され、

「新しい公共」の実 現への気運が高まっている。」





読書により、そのために必要な批判的精神と、問題解決のために必要な知識・技術を

得ることができるということである。




さらに




「知識が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆる領域で基盤となり重要性を増す「知 識基盤社会」が到来し、

個々人の「知」の総和こそがその国の力となり、国の在り方自 体も規定するようになる中で、

読書は、個人が自己の能力を磨き、生活や職業に必要な 知識・技術等を生涯にわたって継続的に習得するとともに、

社会が新しい価値を創造す ることを可能とし、国際競争力を高めていくために不可欠な、

国の文化的インフラと位 置付けられるべきである。」





(長・・)




読書により個人の知的レベルがあがり、結果国の知の総和がふえ、競争力が高まる、ということらしい。




さらに、読書そのものが喜びをもたらすこと、

23年3月11日の東日本大震災を受けて今後の生き方を

再考・熟考する必要のある現代の日本人にとって

読書がこれまで以上に必要であることが説かれている。







第2章読書環境・読書活動の現状




<出版>


☆出版点数・販売金額・書店数など、いずれも縮小の傾向がある。

↓データ↓

平成22年 書籍新刊点数 74,714点 前年比4.9%減

平成22年 書籍・雑誌販売金額 推定1兆8748億円 6年連続下落 ピークの平成8年より30%減

平成22年 書店の数 15,314店 10年間で3割減 ※一方で新古書店は増加

(「2011年版出版指数年報」(社団法人全国出版協会・出版科学研究所)より)


<図書館>


☆図書館数・貸出数は増加し、イベントの開催やサービスの充実もみられる一方で

資料費・専門的職員は減少し、非正規職員やボランティアが活動を支える側面もみられる。


↓データ↓

平 成20年 図書館数 3165館 昭和38年以降増加(町村立は不十分)

平均職員数 10.3人/館 (うち専門的職員 4.6人)

ボランティア採用館 2110館

指定管理者制度採用 203館/3140館(公立図書館) =6.5%

平成19年度 貸出冊数 約6億3千冊 (平成16年度比 8.8%増加)


(文部科学省「社会教育調査」(3年ごとに調査)より)



平成22年度 都道府県立資料費予算額 平均4562万円/館 市町村立 平均854万/館 (減少傾向)

(「日本の図書館」(日本図書館協会)より)


<学校>


☆教育課程における言語教育・読書活動推進が強調され

平成19年度~23年度 には「学校図書館図書整備5か年計画」 として 

「「学校図書館図書標準」を満たすため毎年約200億円の措置がとられたが 

専任の学校司書や蔵書数など、制度面の整備はまだまだ進まない。



↓法改正等↓

平成19年 「学校教育法」改正

(義務教育の目標に関する規定の中に、「読書 に親しませ」という文言が盛り込まれた。)

幼稚園教育要領 改正(平成21年度より実施)

(言葉への感覚を養うため絵本や物語に親しむことが盛り込まれた。)

学校指導要領 改訂 (小学校 平成23年度 中学校 平成24年度 高校 平成25年度より実施)

(「言語活動」の充実がうたわれている。)


↓データ↓   

平成22年度 司書教諭の設置率 11学級以下の学校では2~3割

学校司書設置率 小学校 44.8%、中学校46.2%、高等学校69.4%

平成21年度 「学校図書館図書基準」達成率 小学校50.6%、中学校42.7%

公立学校図書館蔵書増加数 約710万冊

☆学校図書館費 約158億円 3年連続増加 

平成22年度 「朝の読書」実施率 小学校87. 4%、中学校81.9%、高等学校32.7%

(文科省 平成22年度「学校図書館の現状に関する調査」より)
☆学校図書館費は文部科学省初等中等教育局児童生徒課調べ




<大学図書館>



☆資料費確保が困難な中、電子ジャーナル経費が増大し、

予算を逼迫させている。

多くの大学で「専門性を有する人材の養成・確保」が課題として認識されている。

↓データ↓

平成21年度 資料費合計 約745億円(前年比0.1パーセント減)(総経費比1.1%)

運営費合計 約866億円で(前年比1.4パーセント増)(総経費比1.3%)



平成21年度 電子ジャーナル総経費 約208億円(前年比12.4パーセント増)

※洋雑誌の総購入種類数は減少傾向


(文部科学省「平成22年度学術情報基盤実態調査」より)




<子どもの読書活動推進計画>



☆「子どもの読書活動の推進に関する法律」に基づき、政府および自治体は

子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画を策定することが規定されている。

第2次、第3次の計画が順次策定されているが、

都道府県に比べ、市町村では策定が進んでいない。



(2)読書活動の現状




<全体>

☆総務省「社会生活基本調査」および毎日新聞社「第64回読書世論調査」より

データ掲載。

しかしこれを見るだけで読書状況が危機なのかどうかはいまいちわからない。

活字離れを実感するのは「本を読む量や時間につき71%が以前より減ったと回答。」くらい?




↓データ↓


平成18年 1年間に「趣味としての読書」を行った人(10歳以上) 41.9% (第3位)

※50歳以上は年齢が高いほど割合が低い

※どの年代でも女性の割合が高い

※昭和61年から5年ごとの調査結果(15歳以上)は

おおむね40%台の前半から半ば程度で推移している。

(平成8年に37.6%を記録)

(総務省「社会生活基本調査」より)





平成22年 書籍を「読む」人 48%(前年同)

雑誌を「読む」人 58%(前年比 3%減)

1日の平均読書時間 書籍 約26分 ・ 雑誌 約24分(前年より3分短い)

1ヶ月間の読書量

10代後半2.2冊 20代2.3冊 30代1.6冊 40代1.4冊 50代1.4冊 60代1.3冊 70代以上1.0冊

本を読む量や時間につき71%が以前より減ったと回答。


(毎日新聞社「第64回読書世論調査」(平成22年9月実施)より)




<小・中学生>




☆文部科学省「平成22年度全国学力・学習状況調査」よりデータ掲載。

中学生の数値は本を読まない層が多い印象であるが、 

これを見ても活字離れか進行しているのかどうかわからない。


↓データ↓

平成22年度 普段(月~金曜日)読書時間/日 

小学生
「10分以上、30分より少ない」26.5%(最多)

「2時間以上」6.4%

1日10分以上  62.7%




中学生

「全くしない」37.6%(最多)

1日10分以上  49.4%



(文部科学省「平成22年度全国学力・学習状況調査」より)



<高校生>


☆OECD「学習到達度調査(PISA)」2009年調査からのデータが掲載されている。

これは他国との比較ができる点で、より参考になるとは思われるが

必ずしも日本の高校生が読書をしないという傾向というわけではない。



↓データ↓

2009年 「趣味で読書をすることはない」 44.2%(OECD平均37.4%)

※一方で、「読書は、大好きな趣味の一つだ」などのように

本や読書に肯定的な項目に該当すると回答した生徒はOECD平均を上回っている。

※趣味の読書時間と読解力の点数の相関関係は、1日1ー2時間の読書時間までは見られるが

それ以上になると逆の相関になっている。



(OECD「学習到達度調査(PISA)」2009年調査より)




<大学生>




☆ずいぶん扱いが軽い気もする。

この「読書」は、娯楽の読書のみなのか、学習のための読書も含むのか

それにより意味は異なってくる。


↓データ↓

平成22年 平均読書時間 「冊子」(紙の印刷物)27.0分

「電子書籍」(PCや携帯端末で読む書籍)6.1分で
全く読書をしない人 「冊子」37.7%

「電子書籍」77.6%、

双方とも 33.8%

(全国大学生活協同組合連合会「学生の消費生活に関する実態調査」(平成
22年10月実施) より)





(3)読書環境の変化の動向、特にICTの影響




☆昨今の状況をまとめている。

デジタル・アーカイブに関しては無料公開のものが多く

利用が増えることそのものが公全体の利益となると考えるため

広報・周知が必要である。





・ケータイ小説

読み手=書き手 という新たな形態の誕生。

読書への入口となりうる。




・電子書籍/デジタル・アーカイブ



課題も多い中、出版側の経費削減・絶版の回避、アクセシビリティ向上などのメリットも。

図書館での貸出やデジタル・アーカイブの取組もある。

国立国会図書館でも1968年までの出版物のデジタル化およびオンライン流通電子出版物の収集に取り組んでいる。

※平成21年に著作権法改正され、資料保存のため必要が無くても納本後直ちに資料の電子化が可能になり

平成21年度 補正予算約127億円 22年度補正予算約10億円が措置された。

平成22年11月には「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」が設置された。(文化庁)

調査によると一般市民の認知度やアピール度は低いようだが、良い点を生かすべく検討・努力が必要。

↓データ↓

「電子端末やパソコン、携帯電話などで本を読んだことがある」10%

「読んだことがない」人のうち

「電子端末やパソコン、携帯電話などで本を読んでみたい」人21%

※毎日新聞社調査(平成22年9月) より




第3章人の、地域の、日本の未来を育てる読書環境の実現のために
~3つの提言~





提言1 読書で人を育てる、「読書を支える人」を育てる

① 自治体の首長や議員の理解を得る




読書に関する施策の重要性を理解を促し

適切な人材の配置や研修による人材の育成が行われるようにする




② 司書や司書教諭等の読書に関する専門的職員を充実する




読書のアドバイザーとなりうる優秀で意欲的な人材(図書館の司書、学校図
書館の司書教諭、学校図書館担当職員(いわゆる「学校司書」)など)の確保。

そのためには、人材の教育と、専任の司書・司書教諭確保のための制度が必要。


学校においても読書に関する教育の導入がのぞまれるため、
教員養成課程にも、読書やリテラシーに関する科目が導入されるとよい。



③ 地域で読書に関わるすべての人を支援する




図書館が中核となり、地域で読書サークルなどの活動に取り組む人々を支援する。

独立行政法人国立青少年教育振興機構の「子どもゆめ基金」の活用。

司書・司書教諭・教員以外にも本に関わる人材の資質向上をはかるための

教育・資格制度の充実。




提言2 住民参加で自治体ごとの「読書環境プラン」(仮称)を策定し、実現する

① 市町村が、主体的に、それぞれの独自性を活かして取り組む




各自治体が中心となり、「読書シビルミニ マム」」(読書生活保障の最低基準)、

およびその実現のための「読書環境プラン」(仮称)を策定する。

たとえば住民の読書へのアクセス方法や、その実現のための人材配置等につき明確化。

その実現のためのプランを策定し、評価・見直しを行う。




② 学校や保育所、児童館、公民館等の読書環境を充実する




幼少期からの豊かな読書体験を保障する場、さらに

読書を介し親子をつなぐとしてこれらの場の活性化をのぞむ。

学校では、読書を通じた子どもの教育の中核となり、

「言語活動」のみならず、コミュニケーション、思考、図解、企画・立案などの

力をのばすべく、人材や図書、その他の資料の整備に努める必要がある。

学校図書館標準達成のため、学校図書館図書整備5か年計画に基づく地方交付税措置の

有効活用がもとめられる。




③ 図書館の機能強化を図る




図書館が中心となり

障害を持つ人や 高齢者を含めたすべての住民の読書環境を整え

さらに課題解決へのアクセスポイントともなることがもとめられる




④ あらゆる世代の住民が参画し、議論し合う




住民による議論への参画や、ボランティアとしての参加が期待される




⑤ 国は自治体の取組を強力に支援する




学校教育における読書活動の意義等についての周知や

学校図書整備のための予算措置、図書館の設置・運営のための基準整備、

優れた取り組みの顕彰・周知などにより、取り組みを支援する




提言3 読書の新しい可能性や将来像を構想し、推進するためのプラットフォーム(基 盤となる「場」)をつくる

① 本を起点としたコミュニケーションを活発化させる




読書体験を共有できるような、読書会、読書コンクールなどのイベントの開催、

図書と人との出会いの可能性を広げるための

図書検索システムの開発・司書の選書能力の向上・図書館での配架方法の工夫

などがのぞまれる。




② 読書に関する関係者の力を結集したプラットフォームをつくる




各分野の専門家の知見からの読書の将来像の構想、研究、

そしてその成果の発信、活動の評価などを一元的・継続的に行うことができ

現場と電子ネットワークの両者をつなぐような、プラットフォームが望まれる


___



末尾に、「資料編」として各関係法令・文書等の抜粋、「データ集」として

根拠となった各調査結果などが掲載されている。





読書に関する調査に関しては、各調査により、読む対象・目的などにより

こまかな定義が異なると考えられるので、元データを参照することが必要である。

一般的に「活字ばなれ」とされる状況については、それほど顕著に数字にあらわれているとは

思えなかった。

しかし読書に関する現況について、

もともと知りたかった「読書推進の根拠となるもの」も含め、

多く知ることができ参考になった。

































<図書館を学ぶ相互講座>電子化における図書館サービス・ポリシー : 電子書籍に図書館の貸出機能を組み込む 参加記録

日時 2012年5月26日(土)10:00-12:00
場所 大阪府立中之島図書館 ふれあいルーム
講師 大阪大谷大学 杉山誠司先生

一般に流通している電子書籍の図書館での貸出につき
前提となるいくつかのお話と、現況、課題、
またコンテンツの拡充に関する動向等につきお話いただいた。

<前提となるお話>

・近年、インターネットの普及により、図書館という場にくることなく
資料を利用するという形態がうまれた。

・電子書籍に関連する図書館業務
貸し出し手続きのみならず、たとえば目録方法の検討や
サービスポリシーの決定など、幅広い業務が付随して発生する

・電子書籍への反応
反応は様々であるが、利用したいというニーズがあることは確実
→そのニーズにこたえられる体制づくりが必要

<現況>

公共図書館での貸出状況
千代田区および堺市を代表的な例として紹介された
※その後参加者の方より、現況では7館が貸出を実施している旨報告があった

・貸出方法
①館内利用 ②専用ビューア(インターネット経由) ③DRM埋め込みデータをダウンロード
千代田区および堺市は②の方法を採用 
堺市は、ウェブサイトより一覧表示→書籍選択→閲覧(期間限定) の方法で貸出

・貸出ポリシー
貸出にあたっては著作権の問題が解決されておらず
個々に権利関係がクリアになったもののみが使用に供されている

購入冊数、同時貸出の扱いについても方針の決定が必要
※参加者の方より、1タイトルを複数冊買うようもとめられるなどの現状が報告された
購入の形態につき質問をしたところ、現状では購入の形態も様々である旨回答があった
(買い切り、権利の購入・・)


・対象とする利用者
現行では、現在の利用者(住民等)を対象にしているところが多い(ID・PWで認証)

<課題>

・電子書籍貸出サービスの拡大の方向性がなかなか見えない
限られたリソースの中で電子書籍に注力する動機付けとなる物がない

・端末の対応環境 
専用端末、携帯端末への対応が遅れ、PCのみの場合が多い

・利用契約終了時の扱いへの懸念(EJのような事態にならないか)

・コンテンツの拡充
千代田区の図書館でも利用可能冊数は4000冊。
ニューヨークの図書館では33,000タイトルが貸出可能。



<電子書籍コンテンツの動向>(一部紹介)

・ハリー・ポッターがOverdriveという図書館システムで無料貸出される

に代表されるように海外では電子書籍の普及がすすむ中、日本では


・App storeで違法に電子書籍化されていたものに対し日本の作家が提訴

に見られるよう、著作権の問題が壁となり普及がすすまない。
そんな中

・五木寛之氏 電子書籍出版に関しては前向き 。 講談社より小作品を115円で販売 。

などの前向きな動きもある


また、国立国会図書館の長尾前館長が提唱された
新たな電子書籍流通形態についての紹介があった。

通称長尾ビジョン☆1にもとづき、長尾氏が
「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」☆2において
利用者がどこからでも電子書籍にアクセスできる制度を提案されたが、
出版界の反対により実現が困難な現状が紹介された。

☆1長尾ビジョン

国立国会図書館60周年を迎えるに当たってのビジョン |国立国会図書館―National Diet Library

☆2「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」
平成22年3月17日より、総務省、文部科学省、経済産業省が共同で開催した。

総務省|「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」の開催

総務省|デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会|デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会



<感想>

一般に流通している電子書籍を図書館で貸す場合、
収入という観点だけで見れば著作権者の反対があるのはある意味当然。
しかし図書館での貸出はいちがいに書籍の購入を妨害するとはいえないし、
電子書籍の流通は、活字文化の普及のようなより大きな社会的価値を持つ。
それにつき著作権者と図書館界が意識を共有しない限り普及は難しいだろう。
その点海外では著作権者と図書館界がどのように合意形成しているのかは注視の必要がある。

長尾氏の提唱されたような、著作権者への還元のある制度というのは
ひとつの選択肢。
冊子体の図書の貸し出しの時代から、
たとえば英国では貸出回数に応じた著作権料の支払いという制度がある。☆3


また、今後電子ジャーナルのようにコンソーシアムによる契約なども考えられる一方で、
自館の個性のあるコレクション構築の 必要性も感じた。


☆3以下のページに詳しい。
CA1579 - 動向レビュー:公共貸与権をめぐる国際動向 / 南亮一 | カレントアウェアネス・ポータル:









2012年5月19日土曜日

『本の読み方 : スロー・リーディングの実践』






自身が小説家である平野啓一郎氏が、巷にあふれる速読術指南書に異を唱え、

ゆっくり・じっくり(「奥へ、奥へ」)読むことで得られるものと、

その具体的テクニックにつき記した本。



後半は夏目漱石の『こころ』や川端康成の『伊豆の踊子』など

いくつかの作品の一節がとりあげられ、

着眼点の提示とその分析が繰り広げられていた。

最後にはミシェル・フーコーの『性の歴史I 知への意志』がとりあげられているが、

この本を通じて論じられているもののほとんどは、文学作品といってよい。



私自身、本好きといいながらも文学作品をじっくり味わいながら読んだことはほとんどなく、

また最近大学生の読書について考える際も、

文学作品をどう位置づけたらいいかわかりかねていたので

考え方のヒントをもらった。



私にとって以外だったのは、文学作品にもかなりの確率で

作者の意図する主題があり、それを効果的に伝えるための形式が随所におりこまれ、

練りに練られた構成で作られているということで、

それを読み解くことが「スロー・リーディング」であるということだ。

文学作品は天才に近い人がインスピレーションにもとづいて書くもので

読者のほうも主観的・情感的に読む・もしくは感じるものだと思い込んでいたからである。



たとえば氏の分析の中では、本を読み解くために

下記のような点に着目するといいという。



・疑問文

(→小説に登場する疑問文は読者の疑問を代弁していることが多い)


・接続詞

(→作品・文章の構造を把握できる)


・5W1H

(→時代や場所から主題を読み解くことができる)


・対話

(→対立するふたつの意見を効果的に伝えていることが多い)
※こういう小説をポリフォニー小説 という。


・間

(→間をとったあとは重要な発言・場面が多い)


・漸増法 

(→作品の盛り上がりと、作品に登場する数値等の増幅が合致させられていることがある)


・比喩

(→比喩は重層的に用いられていることが多い)



また、その他の読み方として


・辞書をひく

(→小説に登場するキーワードは重層的な意味で使用されていることが多い)



・著者がその設定にした理由を考えたり、そうでない場合の仮定・推論をしてみる

(→登場人物や状況の細かな設定にも作者の意図が隠れている)



などが紹介されていた。





これらをもし実践するなら、もはや「読む」こと以上に「考える」時間が長くなりそうで

それこそがスロー・リーディングなのだろう。

とすれば、文学作品を読むことも大学生にとって重要な読書ということになりそうだ。

むしろそのように多義的な読み方を許すのは、文学作品をおいてほかにない。



平野氏いわく、

「速読とは、『明日のための読書』である。[中略]

スロー・リーディングとは、『五年後、一〇年後のための読書』である」(p. 35)




何にせよ、「考える」ことなしに「読む」ということは

テレビドラマなどを見ているのと同様、娯楽に過ぎない という自覚は必要だ。



・・・私自身、これまでほとんど娯楽の読書しかしてこなかったことになりますが。

これからですな。






















絵本の選び方(実践編)



前回は、年齢別での絵本の選び方をまとめました。

絵本についてのまとめ第4弾として今回は、どのような基準で選んでいくか

より実践的なことを書きたいと思います。





①自分が好きなものを選ぶ。



絵本は繰り返し読むことになります。

子どもは大人の想像をはるかに超えて、絵本を繰り返し読みたがるからです。

なので自分が心から気に入っていなければ、疲れてしてしまうこともあります。

ただし、アートとして自分が好きであるとか、

大人の自分が日常からはなれて癒される というような視点ではなく、

自分が子どもに読みたい、伝えたいという視点で選ぶことが大切です。




②人の意見にもたよる。


自分の感覚だけで絵本を集めていくと、似たような絵本が集まってきます。

①とは矛盾するようですが、偏りがないように、

自分では選ばないものを敢えて選ぶことも重要です。

そのためには、


☆お父さん、おじいちゃん、おばあちゃんなど他の家族にも選んでもらう。


☆絵本のガイドブックを読む。

絵本のガイドブックとしては数多くのものが出版されています。

また、絵本の専門店に行くと、そのお店オリジナルのガイドブックがあることもあります。

自分の気になったものがあれば、図書館や書店で探して一度読んでみましょう。


☆ロングセラーのものを選ぶ。


本には奥付という部分があり、ここにタイトルや著者名のほか、

出版年や版・刷が印字されていますので、これを参考にしましょう。

NPO法人「絵本で子育て」センター理事の森ゆり子氏は、

「成人式(二十歳)を迎えた本がいい本だと思ってください」と言われています。


(『改訂版 絵本を読んであげましょう』NPO法人「絵本で子育て」センター, 2011)

改定版 絵本を読んであげましょう




ただ、勧められたからといって鵜呑みにするのではなく、

実物を読んでみて、自分でも気に入ったものを選びましょう。


☆おはなし会にいってみる


おはなし会のいいところは、読み手の方が声に出して読んでくれることです。

絵本の絵と文字を目で追うだけでは、よさがなかなかわかりません。

第三者の方が読んでくれれば、子どもと同じ立場で聞くことができます。

また、自分では選ばないような様々な絵本と出会えます。


③子どもの反応も見る。


絵本を見て子どもがいいリアクションをしていたら、手元において繰り返し読みたいものです。

子どもの興味の対象は日々変化していくので、その反応が持続するとは限りませんが、

だからこそそのとき興味のスイッチを喚起するものは、

そのタイミングを逃さず読んであげたいものです。







絵本を選ぶことを、絵本作家の長谷川摂子氏は、砂場の山のトンネル堀りにたとえられています。

つまり絵本選びは、親と子供が、お互いの好み・興味が合致してともに楽しめるものを探す、

さぐりあい なのだというこです。

(『絵本が目をさますとき』福音館書店, 2010)

絵本が目をさますとき


時には自分が選んだものに興味を示してくれないこともあるかもしれませんが

興味を示さないというのも子どものひとつの反応なので、

「今はこれには興味がないんだなー」ぐらいに考え

無理強いはしないようにしましょう。

あるとき急にその絵本に興味を示すかもしれません。


子どもの変化・成長に応じて、その都度一緒に楽しめるものを探していきましょう☆



2012年4月30日月曜日

絵本の選び方(年齢別)


絵本についてのまとめ、第三弾です。

今回は、各年齢に合った絵本の選び方についてまとめます。

<新生児期>

なんでもOK!

生まれたばかりの赤ちゃんでも、周囲の人が語りかけてくれているということはわかります。

自分の好きな絵本、リズミカルな絵本、などなど、いろいろな絵本を読んであげてみましょう。

↓おすすめ絵本↓


私自身は、新生児期にそんな余裕はなく、読み聞かせはしていませんでした。

でも赤ちゃんは聴力が発達しており、お母さんのおなかにいるときから周りの音を聞いて

新生児でもお母さんの声は区別できるそうです!

お母さんの声でたくさん赤ちゃんに語りかけてあげましょう☆


<乳児期(~1歳)>

・写実的な絵(遠近法や鳥瞰図は難しい)

・赤ちゃんの知っているもの(食べ物・動物など)や生活場面(食事・お風呂)がでてくる絵本

・わらべ歌や詩の絵本

※生後6か月の赤ちゃんの視力は0.1くらいなので、はっきりした色や形のが認識しやすいようです。

※1歳2か月くらいで、ようやく平面図から立体図を想像できます。

※1歳半ころまでに、複数のものが見分けられるようになります。

↓おすすめ絵本↓

レオ=レオニ
好学社
発売日:2010-11-03


ねずみの親子がいきいきといろんな遊びを繰り広げます。

ボールや葉っぱ、お星様など身近なものが登場して、娘も喜んで聞いていました。

1歳ごろまでは絵本を口に入れてしまうこともあるので、

ボードブック(厚紙でできた絵本。角が丸いものが多い)もおすすめです。






だるまちゃんがてんぐちゃんをうらやましがったり、工夫をしててんぐちゃんの真似をする様子は、

子供らしさにあふれています。

親身になって協力してくれるだるまどん(だるまちゃんのお父さん)もたのもしい!

1歳の娘はそこまでわかってはいないのでしょうが、たくさんのものがずらっと登場する様子や

なんとなく楽しい雰囲気はわかっているようで、繰り返し読みました。



<幼児期(2~6歳)>

・身近な出来事やイベント(誕生日・お客さま・旅行など)や

感情(うれしい・おもしろい・しょんぼり)・・などが登場する絵本

・2歳半ころから、ストーリー性のある絵本・少し長い絵本が楽しめる

(このころから想像力がついたり、登場人物の関係性がわかるようになります)

・3歳ころからは、「自分がやってみたい、なってみたい」と思うような内容の絵本がよい


※2歳半くらいまでは、ほかのことに夢中になり聞いてくれないことも多いようです。

そんなときは無理強いせず、子どもが興味を示すのを待ちましょう。

↓おすすめ絵本↓


現在1歳5か月の娘がもう少し大きくなったら読んでほしい絵本です。

落し物の手袋の中に次々に動物が住み始め、手袋がどんどん家らしくなっていく様子が見事で

つい物語にひきこまれてしまいます。


<ただし・・>

『ぐりとぐら』の作者である中川李枝子氏は、

小さい子でもちゃんとしたお話の本を用意する、

そうすれば子どもは成長に応じてその本を楽しめるようになる。

ものの絵本はむしろちゃんと1人で読めるようになってからでいい。


という内容のことを言われています。(『本・子ども・絵本』 大和書房,1997)

赤ちゃんだからといって、ストーリーのない絵本を読まなければいけないということはありません。

ものの絵本を読み上げるより、ストーリーのある絵本をを読んだ方が

お母さんの声の温かみが伝わるのではないかな?と個人的には思います。

このように、絵本の選び方に関してもさまざまな意見があるので

いろいろ試してみて、自分の選び方を見つけていきましょう☆



★このページの内容を書くのに参考にした本の一覧は、下記のページにまとめて紹介しています。

http://flowerkayoko.blogspot.jp/2012/04/blog-post_24.html







2012年4月28日土曜日

よい絵本とは。(絵・言葉・ストーリー)

絵本についてのまとめ、第二弾です。

いざ絵本を選ぶとなったとき、どんなことに気を付けて選べばいいのでしょうか。

これに関してはいろいろことが言われていますが、

正直わかったような、わからないような感じがするので

私なりの解釈とともに、まとめてみます。

絵本を構成する、絵・言葉・ストーリー(テーマ) にわけて、まとめます。


<絵>


・色がきれい

・丁寧に描写され、無駄のない絵

・絵を見ただけでストーリーがわかる

・子どもにとっての現実性のある絵

・明るく、楽しく、子どもにもよくわかる絵

・芸術的にすぐれた絵



こんな絵がいいといわれています。

ではいったいどんな絵がそんな絵なのか・・。それがわかれば苦労しません。

でも一番確実なのは、「写実的な絵」です。

写実的な絵のものはいわゆる「かわいい」絵本ではないので、

私も子どもができるまでは手に取ったことはありませんでした。

でも実際そういった絵本を娘に読んでみると、

実際に見たことのあるものだとわかるので、娘の反応が大きいのです。



たとえば



いちご (幼児絵本シリーズ)
いちご (幼児絵本シリーズ)



ちいさなねこ(こどものとも絵本)
ちいさなねこ(こどものとも絵本)




などがあります。


もうひとつは、「躍動感のある絵」です。

絵本を読んでいると、登場するものがあたかも動いているような感じがするときがあります。

それは、必ずしも写実的とか明るい絵には限らないのですが

そのものの特徴をよくとらえているということだと思います。



たとえば



かもさんおとおり (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)
かもさんおとおり (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)



かしこいビル (世界こども図書館A)
かしこいビル (世界こども図書館A)




などがあります。


<言葉>



・主語-述語のあるきれいな文章

・声に出して読んでみたときにリズミカル

・オリジナリティのある表現

・簡単な言葉ばかりでなく、子どもにとって未知の言葉もあるほうがよい



言葉に関してはこんなことがいわれていますが、これもまた

わかったようなわからないような。

私のいたった結論は、まず「声に出して読んでみること」です。

図書館でも本屋さんでも、絵本を選ぶときは声に出してみます。

(不可能なら心の中で音読します。)

そうすると、自分が読んでいて心地よいかどうかわかります。

そのあたりの基準はもしかすると個人的なものかもしれません。



私が声に出して読んでみて気持ちいいと感じたものには



こぐまちゃんのうんてんしゅ (こぐまちゃんえほん)
こぐまちゃんのうんてんしゅ (こぐまちゃんえほん)



などがあります。



またもうひとつには、「子供に覚えてほしいきれいな言葉」という結論にいたりました。

日常生活では私自身きれいとはいえない言葉で話しています。

ですが絵本には、子どもにお手本としてほしいような言葉があふれています。

たとえば私の好きな『おさじさん』という絵本には、

「こんにちは」「おいしい」「だいすき」などのきれいな言葉が盛り込まれています。



おさじさん (松谷みよ子あかちゃんの本)
おさじさん (松谷みよ子あかちゃんの本)


<ストーリー(テーマ)>


・読後感がよいもの

・小さい子どもにとっては、大冒険でなくても、当たり前の一日を描いた絵本がよい

・子どもの願望に応えられるような絵本

・仲間と協力して困難を乗り越える内容の絵本



1冊でこのすべてを満たすのはなかなか難しいですし、これにあてはまらなくても

面白く、子どもが楽しめるものはたくさんあります。

また、赤ちゃん絵本にはストーリーのないものが多く、ストーリーを楽しめるのは

2歳ごろからといわれています。



私のおすすめは、



ラチとらいおん (世界傑作絵本シリーズ―ハンガリーの絵本)
ラチとらいおん (世界傑作絵本シリーズ―ハンガリーの絵本)


です。

主人公のラチがどんどん強くなっていく様子に、子どもは自分を重ね合わせ、

勇気づけられるのではないでしょうか。

らいおんは茶目っ気たっぷりで、楽しさも忘れていない絵本です。



<さらに>



・物語と絵の調和のあるもの



ということがよく言われます。

しかし私自身物語と絵が調和していないものを判断できるほど、目が肥えていません。

ですが気を付けたいのは、昔話絵本です。

昔話絵本は数多く出版されており、そのなかには

ストーリーが省略されたり、日本の昔話なのに現代のアニメ調の絵のものなどがあります。

昔話絵本を選ぶときは、もともとの物語がしっかり描かれ、その雰囲気をよく表したものを選びましょう。




たとえば下記のものは、しっかりと厳選された言葉と、雰囲気をよく伝える絵で描かれています。




ももたろう (日本傑作絵本シリーズ)
ももたろう (日本傑作絵本シリーズ)




今回は、年齢に関係なく、一般的な「よい絵本」についてまとめてみました。


ですが実際には、自分の子どもの年齢に応じて、どんなものを読めばいいのか

迷うことも多いと思います。


次回は、各年齢にあった、絵本の選び方についてまとめます。


★このページの内容を書くのに参考にした本の一覧は、下記のページにまとめて紹介しています。



http://flowerkayoko.blogspot.jp/2012/04/blog-post_24.html













2012年4月24日火曜日

なぜ絵本の読み聞かせ?

昨昨年度、NPO法人「絵本で子育て」センター主催の「絵本講師・養成講座」に参加しました。

その1年で学んだことを少しずつまとめていきたいと思います。




まずは、「なぜ絵本の読み聞かせをするの?」という、一見当たり前の事柄についてまとめてみます。

絵本の読み聞かせといえば、ボランティアの活動をされている方も多いし、子供は喜ぶし、なんとなく当たり前のようによいことだと思ってしまいますが、そのよさをあえて言葉でまとめてみたいと思います。




<絵本のよさ>


★新しいもの・ことに出会う機会を持てる。


★知っているもの・ことを絵本の中に発見することで喜びを感じるとともに理解を深めることができる。

★登場人物に自分を重ね合わせることで、様々な感情を知り、人の気持ちも理解・尊重できるようになる。

★本への親しみを持つことができ、読書の習慣への橋渡しとなる。




文字を読める子供が自分一人で絵本を読んだとしても、↑のようなことは期待できます。

絵本はテレビと違い、自分のペースで読むことができますし、自分の想像力次第でいろんなふうに読めます。

それ自体、すばらしいことです。


<でもさらに、読み聞かせをすることで・・>




★言葉を読み書きするものではなく、聞くもの、話すものとして体験することで、言葉の喜びを知ることができる。

★絵本を読んでくれる人の愛情をたっぷり感じられる。(1対1で読むことが大切。)

★絵本を一緒に読んで楽しむことで、何かを共有することの喜びを知ることができる。

★絵本を読んでくれる人の毎日の様子の変化にも勘付くようになる。




知識を得るだけではなく、コミュニケーション能力(聞く力、表現力、人と関わることを喜べる力)が育っていくことが期待できます。コミュニケーション能力とひとことで言ってしまえばなんだかそっけない感じがしますが、人生を前向きに生きていける力・・のようなイメージです。




<また、親にとっても・・>




★親も絵本を読むことで子供心を取り戻せる。

★子供をかわいがってあげている実感、育児に対する自信につながる。

★子供の反応を見ることで、どんなことに今興味があるのか、どんな言葉や文字を知っているのかなどを確認できる。




読み聞かせは子育ての強い味方となります。

<そして、親子にとって・・>


★思い出、言葉、イメージなどを共有することができる。

★何より、楽しい時間を持つことができる。




絵本の読み聞かせというと、子供が文字や知識を覚えるということを思い浮かべがちですが、

実はこんなにたくさんのいいことがあることがわかります。




私自身、娘が5か月のころから絵本の読み聞かせを続けてきて、

絵本のおかげで娘の変化に気づけた!ということが多々ありました。




たとえば・・




以前に本屋さんで見て、文章がきれいなので気に入って買った「ちいさなき」(かんざわ としこ ぶん/ たかもり としお え)という絵本がありました。

表紙は草木の絵で、いっけん地味~な感じです。

せっかく買ったのに娘もしばらくは存在を無視し、読んであげようとしても途中で本を閉じられる始末でした。

ですが娘が歩けるようになって一緒に外に散歩に行くようになりしばらくして、娘がその絵本を

自ら持ってきたのです!




外に行けるようになったので、葉っぱとか草木に親しみを感じるようになったのですね。

読んであげたら、「ぱっぱ、ぱっぱ(葉っぱのこと)!」と言って喜んでいました。




同じ本でもあるとき急に興味を持つことがあるのだな~と実感した瞬間でした★




次は、「絵本の選び方」についてまとめたいと思います。




★このページの内容を書くのに参考にした本の一覧は、下記のページにまとめて紹介しています。



http://flowerkayoko.blogspot.jp/2012/04/blog-post_24.html

絵本・育児について読んだ本たち

2011-2012 の間に、絵本と育児に関して読んだ本をまとめて紹介します。
ブクログにこんな機能があったなんて!素敵~。



kayohikoの本棚 - 2011年01月~2011年12月 (14作品)
昔話絵本を考える
松岡享子
読了日:06月17日
{book['rank']

日本語のために
丸谷才一
読了日:10月15日
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kayohikoの本棚 - 2012年01月~2012年12月 (11作品)

声の力

もうすぐ3歳の姪っ子に会い、(せがまれて)やはり絵本を読みました。 絵本を読んでいると、姪っ子も、 ごにょごにょと 一緒に読んで くれてとっても心が温まりました。 たまたまその前日、朗読教室を舞台にしたドラマを見たのですが、 それを見てもやっぱり、声の力ってあるな...