2015年1月18日日曜日

『絵本とは何か』

絵本とは何か (エディター叢書 6)
絵本とは何か (エディター叢書 6)


絵本について考えるのに大変示唆に富んだ本です。
著者の松居直さんは、日本で初めてオリジナル創作物語絵本を本格的に出版された編集者の方です。(それまでは子ども用の絵雑誌、昔話のダイジェスト、少数の海外からの翻訳絵本、などが主に流通していたようです)


その福音館書店発行の月刊「こどものとも」シリーズがもととなって単行本として発行された絵本の中には、今もロングセラーとなって親しまれているものが多くあります。
★こどものとも復刻版


この本ではその編集の経験をもとに、子どもの反応だけではなく、芸術・文学・教育・・など様々な視点による絵本のみかたが書かれており勉強になりました。
特に強調されていたのが、絵本を子どもに読むことが、書き言葉ではなく、耳で聞く豊かな言葉の体験となる、ということでした。
絵本は本への架け橋であるとか、読むことへのスタートであるという考えが(自分が賛成かは別として)どうしてもあったので、新たな視点となりました。


また、絵本の絵や言葉に関しても深い洞察があり、絵本は物語をあらわすものである、だから物語の世界をうまく形作っている絵本こそよい絵本だということです。
似たようなフレーズはよく見聞きするものの、この本では具体例が豊富でだいぶ理解が深まりました。


まずはおもしろい物語があり、絵はその物語の世界をうまく再現できる場面を切り取って描いているかという点が大事だそうです。
そうすると絵本によっては、絵が先にあってその連続で表層的に物語を作っているというか、絵と絵の間に思い浮かぶ事柄が少ないような気もしてきました。


絵本を評価・批評する目を持つことは、自分の中で否定的な見方が大きくなるようで、その是非はいまだに自分ではわからないまま勉強を続けています。
でも、こうしたしっかりした選択眼のもと出版された多くの絵本が子供たちを楽しませていたり育児を支えてくれていることを思うと、大人がしっかりした批評・選択の目を持つこともやはり大事なのかなと思います。


そのあたりに関して自分の考えはゆれていますが・・。
できるだけいろいろな考えにふれたうえで自分の考えをかためていきたいと思います。







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